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「こつこつ、とことん」。ゴミ収集員が示した仕事の矜持に感動した

素晴らしい仕事ぶりに、心が震えた。

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2020年12月1日放送のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、ゴミ収集員・岳裕介さんの特集だった。

岳さんは、横浜市で事業ゴミ(店舗や事業所から出されるゴミ)のゴミ収集員として働いている。横浜市は全国で最もごみの量が多い。

彼は一日で200箇所を廻る。400回以上乗り降りし、合計して3,000kgのゴミを回収するという。もちろん機械が介在する余地はなく、全てのゴミは腕一本で運ぶのだ。

その過酷な労働を、岳さんは「夢を運ぶ仕事」と話す。ゴミをゴミだと思ったらゴミになる。ゴミを回収して街が綺麗になればみんなが嬉しい、その状況を作れる仕事はとても夢があるというのだ。

収集の現場でゴミが散乱していたとき、岳さんはそのゴミを丁寧に集め、その場を綺麗に掃除する。それはゴミ収集員の仕事ではない。だが彼はゴミが散乱した状態だと街の人たちに不快な思いをさせてしまうため、時に30分かけて掃除をするのだ。

「こつこつ、とことん」

その言葉の通り、真摯に、実に真摯に仕事に取り組む岳さんの姿勢に、我が身を恥じた。

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コロナ禍になって「エッセンシャルワーカー」という言葉が出てきた。

社会インフラや生活維持に欠かせない職業に就いている方々のことで、医療・福祉、保育、農業、小売・販売、通信、公共交通機関など多岐にわたる。

そんな彼らに対して、残念なことに、エッセンシャルワーカーへの迷惑行為が横行しているという。

差別や偏見、無理解が肥大化、凶暴化した許し難い行為だ。

先日話題になったNIKEの広告「動かしつづける。自分を。未来を。The Future Isn't Waiting」にも通ずる。

差別や偏見、無理解は顕在化しているとは限らない。当事者が、自身の加害性に気付かずに、他者を間接的に傷つけることもある。

ゴミ収集の仕事に対して、僕はポジティブなイメージを抱いていなかった。仕事内容も知らなかったし、恥ずかしいことに「あって当然の仕事」という認識でしかなかった。

そんな僕が「エッセンシャルワーカーに感謝しよう」と声高に主張するのは、実に嘘っぽい。

だけどコロナ禍をきっかけに、非エッセンシャルワーカーは、エッセンシャルワーカーの仕事を「知る / 理解する」よう努めてはどうだろうか。

知ることで見える世界や、知ることでエッセンシャルワーカーの立場になって物事を考えるきっかけになるかもしれない。

全体を大きく見据えることで、アフターコロナの新たな視点を得られるはずだ。

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