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皇族女子が結婚しようとしまいと、皇族身分から離れれば一時金は支給される件

「眞子さんの『持参金』『支度金』」という言い方は勘違い

 このnoteでも何度か触れましたが、眞子内親王(以下、本記事では「眞子さん」と呼びます)と小室氏との結婚問題は依然としてメディアで様々に取り上げられています。

 特に「親や国民の意向を無視して結婚するなら、駆け落ちと同じだから、結婚前に皇族を離脱して、『支度金』は無しにしてから結婚するべきだ」とか「『持参金』は国民の税金なのだから、国民が喜ばない結婚をするからには、当然、辞退すべき」などいう類の意見が非常に目立つところです。

 しかしながら「支度金」とか「持参金」とかいうこの種の発想は、賛否以前に制度そのものについての根本的な勘違いでしかありません。これまで何度か記事でこの種の話題に触れてきましたが、念のため改めて簡潔に説明しておきます。

一時金は、皇族の身分を離れるなら、結婚しなくても支給される!

 結論からいうと、眞子さんが受けとるであろう一時金は、眞子さんが皇族の身分を離れるときに当然に支給されるものであり、誰かと結婚するかどうかとは関係はなく、結婚のお祝いとか新婚生活のために支給するという趣旨もありません。
 (皇室経済法6条1項では『皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出』としか決めていないので、結婚が支給の条件というわけではありません。)

どうすれば皇族の身分を離れるの?

 まず整理すると、眞子さんはどういう時に皇族の身分を離れることができるのでしょうか。

 それは三つのパターンがあります。

①自分の意思に基づく場合(皇室会議の議が必要。皇室典範11条1項)
②自分の意思と関係なくやむを得ない事情がある場合(皇室会議の議が必要。皇室会議の議が必要。皇室典範11条2項)
③一般国民と結婚した場合(皇室典範12条)

 小室氏と結婚すれば③に当てはまるのは言うまでもありません。そして制度上は、①や②による皇族からの離脱も可能となっています。「国民が支持しないのに結婚するなら、まず皇族をやめてからにしろ」というのは、①か②をやれ、と言っているわけです。

 しかしながら、①②③どのパターンにしても、「皇族の身分を離れる」ということに違いはありませんから、先ほど確認したように、いずれにしても一時金は支給されることになるわけです。

一時金を辞退する理由など何もない

 つまりこの一時金は、女性皇族の結婚に対するお祝いとか持参金とか支度金などという意味はなく、結婚しようとしまいと、ただ単に、皇族の身分を離れた後の生活水準の維持のために支給されるだけなのです。

 それまで一般国民としての職業経験もなく、一般的な職業につく前提の教育も何も受けてこなかった皇族の人々が一般国民の世界に行くのですから、何らかの生活の金銭的支援がなければ困るのは眼に見えているわけで、一時金はそのために支給されるという意味しかないのです。

 それを、あたかも結婚のための「持参金」とか「支度金」などと思い込んで、世間の喜ばない結婚をするならそれを辞退するべきだと主張する人々は、とんでもない見当違いとしか言いようがありません。

 眞子さんと小室氏との結婚そのものを国民がお祝いしようと憤慨しようと反対しようと、そもそも結婚すらしなくても皇族の身分から離れさえするなら一時金は支給されるのですから、辞退する理由など何も無いということになります。

 なお「皇族は国民の税金で生活しているのだから、国民が反対する結婚をするべきではない」と主張する人が後を絶ちませんが、こういう人々は、皇室は国民の人気で支えられる人気商売だと考えているということになります。   

 ★一時金の計算などもう少し詳しい情報は、以下の記事をご覧ください。

たびたびご紹介した私の下記の著作では、第7章と第8章でこの関連する論点に詳しく触れています。


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