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そもそも「皇族の人数の確保」って必要なの?

政府の有識者会議の案

 皇室に関する政府の有識者会議が、「皇族の人数の確保」について報告書を発表しました。

 報告書は、皇位継承のあり方については、悠仁親王までは現状(=天皇は男系男子の皇族に限る)を維持することとして変更を求めることなく、当面の皇族の人数の確保策についてだけ論じています。

 既に報道でも明らかにされていますが、その案としては

①女性皇族が結婚後も皇室にとどまる。ただし夫と子は皇族にはならず一般国民のままとする
②皇族が養子を取れるようにする。具体的には旧宮家(旧皇族)11家の子孫の男系男子を想定

という二つの案です。

 これらの問題点については改めて別な機会に詳しく説明したいと思いますが、特に②の案が含んでいる難点については、過去の下記の記事をご覧ください。


憲法の原則の例外としての天皇・皇族

 今回はもう少し根本的な観点で考えてみましょう。

 そもそも天皇・皇族とは、日本国憲法の平等原則や基本的人権の保障の重大な例外ということができます。「天皇・皇族は国民とは別身分なので、基本的人権の保障がない」と考えるか、「天皇・皇族も国民の一員だが、例外的に人権の制約を受ける」と考えるか、どちらの説明も可能ですが、いずれにしても憲法全体から見れば例外であることには違いありません。

(詳しくは、これも過去の記事をお読みください。) 

 日本国憲法で最も重要な原理は個人の尊厳であり、その個人の尊厳を守るために平等・人権(特に自由権)、国民主権などの原則が定められたのです。

「例外」をわざわざ増やすのはおかしいのでは?

 そうだとすれば、同じ人間同士なのにもかかわらず、このような憲法上の原則に対する例外扱いがあること自体が本来は望ましいことではなく、例外扱いを減らしこそすれ、増やすことは考えるべきではないということになるのではないでしょうか。

 このように考えてみると、皇族の数が結婚・出産によって増えるならともかくとして、先祖がたまたま昔の天皇だった一般国民の中からの養子縁組によって、わざわざ「例外」にあたる人を新たに増やすことを考えるのは、果たして望ましいことなのかという疑問があります。

 果たして、基本的人権や平等原則などの「例外」である皇族の人数を、今さら確保したり増やしたりするべきなのでしょうか。

 「どのように皇族の人数を確保するか」よりも、「そもそも人権や平等の例外にあたる人を、わざわざ増加させて良いのか」という議論が必要なのではないでしょうか。

 基本的人権は、最大限尊重されなければなりません。逆にいえば基本的人権の制限は必要最小限でなければなりません。そうなると、基本的人権を制限される人=皇族の人数も、「必要最小限」に抑えなければならないとも考えることができます。

 この観点から切り込んでいるのが、下記の私の著作『13歳からの天皇制』ですので、是非ご一読いただければと思います。


よろしければお買い上げいただければ幸いです。面白く参考になる作品をこれからも発表していきたいと思います。