「賃金カーブ」とは?
【賃金カーブとは?】
社員の給与を年齢別、もしくは勤続年数別に並べた時にできる右肩上がりのカーブのことです。
数値軸の縦軸には、給与の実額を
項目軸の横軸には、年齢を
それぞれ、プロットしていきます。
●年齢給をもとにした賃金カーブは、20歳代から40代歳半ばまで上昇し、その後ゆるやかに増加するか、もしくは増加が止まります。
40歳代以降は、年齢給(職能給)よりも職務給の構成比率が高くなるからでしょう。
【解説】
職能給は「勤続年数に応じて向上する職務遂行能力」に準じて、賃金もアップしていく。
(日本型/年功序列型/労働力対価)
職務給は、「職務の達成度」に応じて賃金が配分されるため、主観的なものではなく、基準化された数値を客観的に判断して、賃金も決められます。
(欧米型/≒成果主義/労働力対価)
業績給は、目標の達成度(業績)に対する評価によって決定する給与です。
また、業績給は労働契約において完全出来高制が禁止されているため、ベースとなる賃金にプラスして支払われることが多い。
●厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をみると、近年この賃金カーブがゆるやかになってきていることが分かります。
生活保障的な枠組みによる年齢給から脱却し、多くの企業が業績成果を重視する人事制度に移行したことが一つの要因と考えられます。
【年功序列型雇用】
これまで、日本の雇用慣行(労働慣行)では、団塊世代(1947年から1949年)の人たちが若年労働者として大量に入社し、それまでの中高年労働者が退職した後を補充するカタチでした。
いわゆる、ピラミッド型の就労構造でした。
今は、少子化の影響で、高齢となった退職者の補充をするだけ新卒の若手社員が採用出来なくてなりました。
このことにより、従来の年功序列な処遇が維持出来なくなったのです。
【既存の社員と新卒者との処遇】
連合(日本労働組合総連合会)が発表した2024年春闘における平均賃上げ率は5.1%で、高い伸びを記録しました。
少子化による人手不足の影響で、初任給を引き上げる企業が相次いでいる一方で、「既存社員の給与は現状のまま」という企業も少なくなく、社員のモチベーション低下や離職が問題になっています。
若手人材の確保のために新卒社員の獲得は重要ですが、人材の定着もまた重要です。
その意味で、会社の戦力として成長した社員を失うことは新規人材を獲得できなかった以上にダメージが大きいでしょう。
そこで留意することは初任給を引き上げる場合、給与制度を見直し、既存社員の給与も引き上げることだと思います。
【参考】
楠田丘「日本型賃金制度」
【参考】
『ジョブ型雇用』と『メンバージョブ雇用』
2024.08.24.