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【考察】NPOのあるべき姿

「NPOの "あるべき姿"」を考える

NPOと行政との関係「共創・協働」について

1) NPOの価値とは何か
2) NPO側にも問題がある
3) なにをなすべきか

問われるべきことは、NPOと行政が協力して実現すべき価値は何か!!ということです。

NPOWEBは「認定NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会」のウェブサイトです。

http://www.npoweb.jp/

画像はイメージです。

松原明さんのFacebookより
2019.03.29

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=433221337427792&id=100022197879212

【本文転載】ご本人の承諾済み

【NPOの価値とは何かを考えよう】

NPOの大きな価値の一つは、市民の参加と協力のツールであり、市民社会の媒介者であるということです。

社会の課題に関して、
1.そのニーズにあった、かつ人々が関われるような解決策を生み出し、
2.参加と協力でそれに取り組む人々を増やし、多元的なつながりを育む中で、みんなの課題(公共の課題)とし、
3.行政と協働するなかで、行政自体の民主化を進める、
というのが、かつてから期待されていたことの一つでした。

つまり、自治におけるNPOの価値とは、課題の発見と解決策の実施を行い、それを通じて人々をつなげて社会を厚くし、その力で民主主義を不断に進めていくということにあります。

しかし、ここにおいて、NPOの仕事を課題解決だけに焦点を絞ってしまえば、企業と違いはなくなります。

NPO自身が自分の大切な価値の訴えと実現を放棄してしまえば、行政からみれば、単なる一事業者となってしまいます。
結社を通じた市民参加・協力と民主化の推進という価値(バリュー)は、行政には新しいものなので、理解しにくい。
なので、協働においては、その理解を促進していくことも、NPOの重要な仕事となります。

しかし、多くのNPOがその努力をしっかりしているようには思えません。

それどころか、自らの価値を「社会的課題の解決」にのみおいているようです。

【NPO側にも問題がある】

行政からNPOが事業者的に扱われてしまうのは、こういった偏った「NPOの価値に関する自己理解」が行政に伝わり、行政も勘違いする中で、事業と評価が行われていることです。  

今問題なのは、新自由主義的な、または、公平性と財政を重視する行政的な価値が広まる中で、NPOが自らの価値、そして、そこに参加し、ともにある多様な市民の持つ価値を前面に出さず、相手の価値観の中で競争を行ってしまっていることです。

評価は、価値の測定であり、価値闘争や価値実現が忘れ去られた中で、評価が幅を利かせると、それは、NPOをますますたんなる儲からない代替性の効く事業者に変えていきます。

民主主義を実現し、多様な価値を保護することで世界の多様性と共生を促進し、それを活動に転化することで、個々人の生にそれが現実として実現されていく、そのようなNPOの働き(機能)を、今は、ただただ、自ら毀損しているようにしか思えません。

NPOが、自ら「社会課題の解決こそが、自己の最大の価値だ」と謳うとき、それは自らを事業者に同列化しているのです。

 しかし、多くのNPOは、課題解決こそが役割と教えられ、委託事業でもそう評価され、それにあわせて活動を展開してきました。その結果、成果を出すには、むしろ参加や協力は、手間がかかり、邪魔なだけとなってしまっているようです。

成果を出そうとすればするほど、NPOは、参加や協力を疎んじていくという傾向に陥っています。

評価の問題も、価値の問題を抜きにして語られています。それは危険な兆候で、この世界をどう作っていきたいのか、についての議論が、つまり、民主主義と共生にとって、もっとも重要な事項が、抜け落ちてしまっているのです。

【なにをなすべきか】

問われるべきことは、「NPOと行政が協力して実現すべき価値はなにか」ということです。
それは、地域の経済発展だけではないはずです。課題解決だけでもないはずです。

例えば、国連の幸福度調査では、経済的指標だけでなく、社会的支援の厚さや、人生の選択の自由度、チャリティ活動の活発さといった社会の寛容度が、国や地域の幸福のバロメーターとされています。

OECDの「よりよい生活のための指標」では、収入や健康と並んで、社会とのつながりの充実度や、政治参加度も幸福の指標とされています。

これらの指標は、要するに、国や地域が、追求し、実現すべき価値であるといえるでしょう。

これらの指標に従う必要はありませんが、自分たちの地域で、

「この地域の豊かさとは何か?それはどのような価値として、明確化できるのか?」についての協動的議論が必要なのです。

企業ではできない価値をお互いに重視して、実現していこうという話し合いが行われる必要があります。そして、それが実現されているかどうか、それを確認するために、どのような評価がされるべきか、という議論を行うことが重要です。そのような議論が圧倒的に不足しているのが、今の最大の問題点だといえるでしょう。

協働を今一度、価値の問題からしっかり話し合っていくことが、崩れかけているNPOと行政の協働の再構築への道だと考えています。

【関連】

【Note】2021.02.04

【Note】2020.12.24

【Note】2020.09.28

情報誌『ウォロ』2021年4月・5月号
「法人格の選択肢について」

http://osakavol.shop-pro.jp/?pid=159332834

【加筆】2021.05.10

ある方から、コメントを頂きました。

NPOに限定して言うと、一般企業や社団法人などより、信頼性は高いです。
それは、設立の要件からしてハードルが高いし、認定NPOになれば公益性の証明も必要になるから。

でも、あまりそういう事が、社会的には認知されてないですよね。
企業や、なんちゃら(一社)の方がちゃんとしてる団体に見えてしまう。

だから最近、あえてNPOにする意義が見つからず、会社や(一社)を選ぶ団体が増えています。

そういう、社会的認知の問題は、かなりあるなぁと思っています。

あと、政府の広報を見ると、そもそも「NPO=地域の担い手」のイメージなんですよね。

NPOには企業や社団と違って所轄庁(自治体)がありますしね。

つまり日本のNPOは、本来コミュニティが担っていた「共助」を補完する存在って、政府自体が認識してるんでしょうねぇ。

【NPO内閣府ホームページ】

https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou

2021.05.06
2021.05.10 追記

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