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「ディープな維新史」シリーズⅢ 維新の真相《討幕運動のハイマート》 歴史ノンフィクション作家 堀雅昭

《討幕運動のハイマート》

原田伊織氏が『明治維新という過ち』で語るところでは、「吉田松陰一派を内輪だけで〈志士〉と呼んで英雄し」したことで、長州藩が「テロリスト」を養成したのだという。
 
そして長州のやったことは、「天皇の政治利用」に過ぎず、「討幕の密勅」も「下級公家岩倉具視」の捏造だったと罵倒する。
 
さらには「王政復古の大号令」さえ、「幼い天皇を人質とした軍事クーデター」と切り捨てる。
 
原田氏の結論は、徳川政権が続いておれば、「吉田松陰の主張通りに大陸侵略、南方侵略に乗り出すことはなく、挙句に大東亜戦争という愚かな戦争に突入して国家を滅ぼすことだけは断じてなかった」というのである。
 
すべては長州のテロリストによる政権乗っ取りで、それが諸悪の根源というのだ。
 
あまりに幼稚な明治維新史観ではないか。
そして、それは真実であったのか。
維新革命にかかわった長州側の子孫たちにとって、原田史観が一方的で、誤謬と悪意に満ちているように見える。
 
本稿では「長州テロリスト」と罵倒され、揶揄され、貶められた側から、真摯に歴史と向き合った郷土人たちの源郷「ハイマート」から真の姿を炙り出してみたい。
 


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