#⒋「焦らずゆっくり大人になる」 〜人の愛情に気付くこと〜

以前(けっこう前ですが)観ていた、あるアニメでとても好きだった言葉を思い出しました。

「世界は美しい、悲しみと涙に満ちてさえ瞳を開きなさい。やりたいことをしなさい。なりたい者になりなさい。友達を見つけなさい。焦らずにゆっくりと大人になりなさい。
アニメのヒロインに向けた両親からの言葉(手紙?)だったと思います。

とても愛に溢れた素敵な言葉です。
このアニメには、たくさん泣かされました。

エリクソンの提唱した「発達心理学」では、人の生涯を8段階に分け、各ステップにある社会的な課題をクリアすることで人が得ることができるものを分類したものです。
そして、この8段階のほとんどが「子供」(青年期を含む)のステップです。
もちろんクリアできず、得るべきものが得られないこともあります。
しかし、それは後からでも取り戻すことはできます。
人は完璧ではないですからね。

その8段階の一番最初、生まれて間もない子供がまず抱くのは「世界に対する不安」です。
しかし、養育者や周りの大人から「無条件の愛」によって助けてもらうことで不安は希望に変わります。
「無償の愛」をもらうことで、自らの存在を肯定できるようになります。
「ただ存在していること」を愛してくれる人たちがいて、「自分は此処にいていい」のだと思えるようになります。
この段階で得られるのが「世界に対する希望」そして、ベーシックトラスト「基本的信頼」です。
人をそして、何より自分自身を信じることができるようになります。


人は幼い時には、その「愛」に気づかないかもしれません。
子供には、他者に依存しなければ、生きることができない場面が多々あります。
その一つ一つの場面では、「誰か」からの「愛」が存在しています。
それが、成長とともに、自分でできることが増え自立していきます。

そしてその「愛情」に気付くことができたときに、人は大人になるのだと思います。

私自身、つい最近まで一人で生きてきたような顔をしていました。

しかし、振り返ってみると、家族、友人、恋人、学校の先生、会社においては上司、同僚、部下、お客様、仕事で関わりを持ったたくさんの方々。
たくさんの人が色々な場面で、自分に愛情を向けてくれていたことを知りました。

「愛」には色々な形があるのだと思います。
ストレートに愛情を伝えることができる人も、それが苦手な人もいます。
そして受け取り方にもよるのかと思います。

母子一体感」という言葉があります。
子供が母親や養育者に対して抱く感情で、「やってくれて当たり前、わかっていてくれて当たり前」と思う感情です。
母親や養育者を自らの一部として思い、自分の感情、行動をわかってくれていることが当たり前であると考えることです。
この感情は、成長とともに薄れていきますが、大人になっても完全には消えることはありません。
そしてそれは、家族や友人、恋人、会社の同僚など近しい人に抱きやすい感情です。

それと対となる言葉が「離別感」です。
相手を自分とは異なる他人として認めることです。これを「大人の感情」と呼びます。
当たり前のようですが、距離が近い人ほど難しいものです。
相手を、そして自分自身を客観的に見つめることで、自分が誰から何を与えられていたのか、初めて気付くことができるのだと思います。
また、それは今まで以上に相手を理解することに繋がります。

自分が思っていることは、相手に言わなければ伝わりません。
「分かっているだろう」は母子一体感情によるものです。


大人になる」には、踏まなければならないステップがたくさんあります。
そのステップをゆっくり、ひとつずつ味わいながら、たくさんのものを見て、感じて「自分」が形作られて、他人を理解できるようになるのかなと思います。

私も「大人」になるためにはまだまだかもしれません。
ですが、人に愛を与えられ、人から愛され、それに気づける人になりたいと思っています。

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