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10年来の居場所への決別。ライフシフトと「日本を明るくする会」退会の決意

・薄毛の新人議員たちで日本の夜明けを夢想した「日本を明るくする会」

こんにちは、堀井学です

前回は、私の26年に及ぶコンプレックスの自己開示にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。一度は躊躇したカミングアウトでしたが、

「そもそも、政治家とは批判されることが付きものの職業ではないか。ハゲていようが、髪が生えていようが、何でも叩かれる。今さら何を恐れることがあろう、胸を張っていようじゃないか」

と己を鼓舞して投稿しましたところ、望外に温かい感想のメッセージやコメントをSNSからいただき、滂沱の涙が私の頬を濡らしました。本当にありがとうございます。


さて今年は、自分自身にさまざまな変化の風を起こして、ライフシフトを敢行していこうと思っております。そのひとつは、発足から関わり、チャーターメンバーであった「日本を明るくする会」の退会の決意です。

「日本を明るくする会」とは、平成24年12月に、第46回衆議院議員総選挙で初当選した自由民主党の同志で立ち上げた任意団体です。参加資格は薄毛…つまり、“ハゲ”であること。


薄毛の仲間が集い、私にとっては、まあまあ居心地が良く、気が休まり、気兼ねなく薄毛の悩みを話せる、愉快な会でありました。

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ハゲ自慢をする者、ハゲネタで周りを笑わせる者あり、ハゲになるまでの生き様から、それぞれの人生のハゲストーリーを語る場でした。日経やNHKなどのメディアにも、たびたび取り上げていただき、お茶の間に幾ばくかの明るい話題を提供できたのではと自負しております。

ネット上で、ハゲは性欲が強いと言う論文を見つければ、「我こそ真の男だ!」と、ハゲであることに誇りを持つ者まで現れました。安い中華料理屋で、幾度となく懇親会を開催し、当初は会員が勢いよく増えていきました。まさに、生まれて初めて、この頭にスポットライトが当たる喜びを感じた、会の黎明期でした。


・本来の主旨からはずれ、拡大解釈で脱線していく、会への嘆き

しかし、人の考えは、十人十色です。ハゲや薄毛と思われることが、許せない者もいます。誰が見ても明らかなハゲ及び薄毛、兆候が見られる予備軍であるのに、勧誘されても入会を拒む、往生際の悪い者も多数おりました。自分がハゲとは、認めたくない、僅かながらの抵抗とも言えよう。当初は、最大派閥以上の人数にまで行く勢いと思われ、「ハゲから総理を出そう!」と叫ぶ者まで現れた我が会でしたが、しかしその後、会員は思うように増えてはいきませんでした。

この会に正式入会すれば、インターネットに公開され、永遠にネット上の歴史に刻まれる。50種類の育毛剤を試して頑張っていた20代の時でしたら、「こんな会に絶対、入会してたまるもんか!」と思ったことでしょう。必死に抵抗する側からすれば、いわば、宇宙の墓場や、ブラックホール、男の墓場扱いなのかもしれません。

最初の2、3年は積極的に会に参加をしていた私でした。ですが、ここ数年は足が遠のいています。その理由は、会員増のために発足当初の規約をねじ曲げ、入会基準の解釈を拡大し、

・今はハゲていなくても、これから薄くなることが予測される者
・母方の父がハゲている者

など、基準が曖昧になっていったことからでした。

更には、会員拡大ばかりに目が行き、秋田の議員に、「伝統文化にナマハゲがある!」と無理矢理入会させたり、挙句の果てには、「北海道小樽市には、毛無山があり、晴れた日には増毛町が見える。それなら入会できる!」と伝統文化や地名までもが対象になり始めたのです。

私にとって、最も居心地が良かったはずの会、見渡す限りハゲだらけだったはずの聖地に、真っ黒黒介の頭髪どもらが紛れこむようになっていきました。発足当初のハゲ同士の鉄の結束たる仲間意識。「この頭の輝きで、日本を明るくしよう!」と誓い合った日々はどこへいったのか。


・完全体から不完全体へ。決別の決意と新たなるライフシフト

そもそも、よく考えるとハゲの完全体は、衆参国会議員でも、私ただ一人です。「日本を明るくする会」も不完全なハゲで、まだまだ、道半ばのメンバーの集まりであります。今となっては、中途半端に頭髪を残しているうちは、いつまで経っても日本を明るくすることは出来ないであろうと考えが至りました。

「潔く、完全体となって出直して来い!」、メンバーには面と向かって伝えたい。この会を退会するにあたって、私の揺るぎない強い気持ちを胸に、私は、新たな団体を立ち上げる、そう決意したのです。


退会にあたって私は、会に対する積年の感謝と違和感を胸に、妻から銀婚式のプレゼントとして贈られたカツラを装着して、退会届を差し出しました。

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退会理由には、

私自身の鏡に映る姿が、本会の趣旨に沿う状況にないこと。何とかして、残留できるかを考え思い悩んだが、本会は、ハゲや薄毛の者たちが、励まし合い、仲間を募る趣旨であるが、私は、ハゲと薄毛に悩み苦しむ方々に希望を与え、髪を取り戻し、未来を明るくしていきたいと、方向性の違いが明確になったため。

と、したためてあります。

ライフシフトとは、『ワーク・シフト』の著者リンダ・グラットンと、経済学の権威アンドリュー・スコットの共著のタイトルにもなっている言葉ですが、

人生100年時代に突入した中で、これまでの“教育→仕事→引退”の「3ステージ人生」から、人生の節々で自分らしい生き方を選択していく「マルチステージ人生」への転換を図ることをいいます。

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私も、人生50年、国会議員10年目という節目で、より“自分らしい人生”を目指してライフシフトしていこう。その決意とともに、長年の居場所であった、会の扉を閉めたのでした。

堀井学 拝

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