地域の由来を紐といて、未来へいざなう
私は、地域の仲間たちと、地域情報誌『いすむすび』(フリーペーパー)を発刊しています。今回は、その発刊するに至った経緯や想いについて触れたいと思います。
私は、2018年に東京都荒川区から、千葉県勝浦市に移住しました。
勝浦市を含む二市二町(いすみ市・大多喜町・御宿町・勝浦市)は、夷隅地域と呼ばれ、千葉県の房総半島位置し、海あり山ありの気候や地形にとても恵まれた土地です。
都会で過ごしてきた私にとって、夷隅地域での暮らしは、一次産業といわれる漁業や農業、狩猟業などが身近にあり、刺激的で興味深いものです。
「本来、人が持っている生きる力」というものを強く感じさせてくれます。
私は普段、ヘリテージマネジャーという歴史的建造物保全・活用の活動をしています。夷隅地域に残る古民家などの調査を仲間と行っています。建物の調査は勿論のこと、当時、建物を建てた人や、その人の家業なども古い文献や写真などから紐といていきます。
ある古民家を調査していたときのことでした。
「この古民家を建てた人は、昔、網元をしていて漁業の繁栄に大きく貢献し、そして、お金や物資、土地などを寄付して、それがまちの繁栄につながっていた」という事実が浮かび上がってきました。
古い「建物」の調査から、「人」「商い」「まち」のつながりが見えてきたのです。私が今暮らしている地域の環境は「先人たちの努力の積み重ねによって在るもの」ということにも気づかされました。
ある時、地域の人から小学校で講座を開いて欲しいと依頼がありました。
歴史的建物を軸として、地域に継承されてきたものの価値を伝えたところ、子どもたちや保護者、学校の先生方は真剣にそして興味深く話を聞いてくれました。それぞれが想いを巡らせていたように感じます。
この経験から、私たちが調査や取材してわかったことを自分たちだけの情報ではなく、地域の人たちに共有し、夷隅地域でのこれからの暮らしについて、それぞれが考えるきかっけづくりをしたい! そういう想いが芽生え、地域情報誌『いすむすび』を作りました。
記事では、夷隅地域の「いま」「むかし」のリアル(良いことも、そうでないことも)に触れています。
地域に生きる人、建物、商いなどを通して、継承されてきた想いやものを、現代の人々に結び、それぞれの人の考えが未来につながる。『いすむすび』という名前にはそんな思いが込められています。
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