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「杉並区が非公開とした情報」を文化庁が公開してくれた話

座・高円寺(杉並区立杉並芸術会館)については、過去複数年の決算数値が整合しなかったことから独自に調査活動を続け、議会で課題検証してきました。

その結果、未計上収入の存在など「不適切な決算処理」があった事実の確認が行われ、ついに杉並区も事実を認めるに至っています。

これを受けて、東京都に提出されていた活動計算書(決算書)の修正も公表されました。

一方で、指定管理者NPO法人が杉並区に提出していた事業報告書(収支報告書)については、事後もそのまま一部非公開が続いていたのです。

隠蔽された個別収支 座・高円寺(杉並芸術会館)の事業決算

[問]杉並芸術会館の決算に不整合・不一致を発見したことから監査請求を行った。これにより指定管理者NPO法人の決算に未計上の隠れた収入があったことも確認された。

[答弁]誠に遺憾である。不整合とともに修正するよう指導した。

[問]都に修正報告されたNPO法人の決算には、修正前決算の収受日(令和2年7月2日)と修正後決算の収受日(令和3年6月18日)が記載されている。これにより請求した監査の実施中に慌てて決算を修正したことが判明した。
 一方、区側に修正提出された指定管理業務の収支報告書には修正・収受日の記載はなく、あたかも何事もなかったかのように文書がすり替えられていた。

[答弁]コンプライアンスの点から問題があるとは考えていない。 

[問]これまで報告に記載されていた各公演・事業単位の個別収支が今回の修正を契機に消去され、闇に葬られている。

[答弁]これまでのような個別収支についての報告はないが、収支報告書として必要な情報は盛り込まれていると考えている。
杉並区議会だより2021年11月15日号


なにか隠したいことがあったのでしょうね。その後も個別収支の多くについて頑なに非公開を続けたのです。

過去の事業報告書・収支報告書には、各舞台公演ごとの個別収支が記載されています。その発覚を恐れたのかもしれません。

杉並区は指定管理者に対して毎年提出を求めていた詳細な事業報告書・収支報告書の様式を急に変更し、個別事業の収支は報告書に掲載しない(包括的記載のみに変更する)という「荒技」に出てきたのです。

座・高円寺(杉並芸術会館)延床面積4997.74㎡


しかし、「杉並区が非公開とした情報」は文化庁から公開された


このように杉並区長(執行機関)は、指定管理者NPO法人と共謀して情報をひたすら隠し続けました。

座・高円寺/杉並芸術会館で実施されている舞台公演の多くは、杉並区の芸術文化普及振興事業となっています。

これは区の指定管理業務となっていることから特段の公金(指定管理料)を投入して通年実施されてきたのです。

多くの舞台公演(座・高円寺1で行われる舞台公演)は自主事業ではなく、過去においては「区の事業」として実施されていたものばかりなのです。

その意味でも、不適切な決算処理があったことを認めた後も一部収支の非公開を継続したことには絶句しかありませんでした。

こんなことは、通常ありえないわけですよ。区の情報なのだから。

もちろん、ここで諦めるわけにはいきません。ホール「座・高円寺1」には文化庁などから補助金を受けて上演している演目もあったからですね。

杉並区の情報(杉並区の事業についての情報)を文化庁経由で入手しなければならないのは実に迂遠ですが、杉並区が頑なに非公開とする以上、仕方がありません。

おかげさまで、文化庁の補助事業になっていたもの(文化庁の補助金を受けていた舞台公演)については、文化庁が情報を公開してくださいました。

これにより、各演目ごとのチケット収入・販売枚数、支出の内訳などを含む全体像をようやく把握することができたのです。

いずれも杉並区が頑なに非公開としていた情報ばかりです。

文化庁が黒塗り非公開としたのは職員のメールアドレスや印影など純粋な個人情報のみでした。杉並区長の対応とは彼我の差です。ご協力ありがとうございました。

ホール「座・高円寺1」/紹介パンフレットから
杉並芸術会館(座・高円寺)は地上3階・地下3階


指定管理業務を通じて副収入を得ていた芸術監督


文化庁がスムーズに情報を公開したにもかかわらず、なぜ、杉並区は自ら把握している情報を隠し続けたのでしょうか。

令和2年度分からは、各舞台公演の個別収支について「報告を受けていない」と逃げるようにもなっています。

自主事業ならともかく、区の指定管理事業について箝口令をしいているかのごとく非公開を徹底させているのは、あまりにも不自然です。

文化庁の情報公開により、杉並芸術会館の芸術監督(杉並区の特別職公務員)は、区が支払っている月額報酬のほかに、指定管理業務を通じて多額の副収入を得ていたことも判明しました。

これも文化庁に照会しないと情報が出てこないのですよ。

芸術監督が副業されることを咎めるつもりはないですが、定額の月額報酬のほか、杉並芸術会館の指定管理業務(芸術文化普及振興事業)を通じて副収入を得ている場合、その事実を開示するのは当然のことでしょう。

杉並芸術会館の芸術監督は、杉並区の特別職公務員なのですよ。


なぜ、「杉並区の情報」を文化庁で取得しなければならないのか


今回新たに情報公開されたのは、文化庁の補助金を受けている演目についてのみです。

芸術監督は、それ以外でも指定管理業務を通じて副収入を得ていると思われるところですが、これについても公開されていません

決算不整合・不一致への対応として紙で区に修正提出された新たな報告書は、それが真正なものであるかどうか客観的に確認できないものでもありました(前述)。

施設利用料金の減免実態などについても、事後検証することができないように報告されており(四半期報)、それがそのまま区で通用していることも不自然です。

いずれも報告や説明が不自然であるにもかかわらず、杉並区長はそのまま放置していました

依然として多くの情報を非公開としていることからも、闇の深さを感じないわけにはいかないのです。


杉並芸術会館・芸術監督は「特別職公務員」であることに自覚を


芸術監督は、ここで話題にした区の芸術文化普及振興事業を統括しています(杉並区立杉並芸術会館芸術監督の設置に関する要綱第5条1項)。

芸術文化普及振興事業の企画及び実施にかかる予算の執行並びに施設の利用も、芸術監督の権限と責任において行うとされているのです(同要綱5条3項及び4項)。

現場を熟知する芸術監督に説明責任があることは言うまでもありません。

指定管理者側の演劇人と人脈的に親しいのだとしても、すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないのです(憲法15条2項)。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

引き続き課題に取り組むことができるのは、みなさんの応援のおかげです。風通しのよい杉並区にしていきたいですよね。

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