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事業構想を書くアプローチ「バリューデザイン・シンタックス」



はじめに

こんにちわ、NEWh ほりです。
前回は我々NEWhが開発し、実事業開発の現場でも活用を進めているフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス」を用いてケーススタディ形式で世の中の素敵な企業を紹介する記事を書かせて頂きました。
今回は、この「バリューデザイン・シンタックス」について、ビジネスモデルという言葉、事業開発のゴールと難しさにも触れながら書いてみます。


ビジネスモデルとは何か。

まずは導入として。
ビジネスモデル。
事業開発と向き合われている方にとっては、避けては通れない言葉ですが、ビジネスモデルってなんでしょうか。様々な場面で使われている言葉ではありますが、人によって、企業によって、書籍によって、捉えている範囲や側面が違う、そんな言葉だと思ってます。ビッグワード。

そんな言葉ですが、、私はビジネスモデルを「持続的に成立することを示す事業の全体構造」と捉えてたりします。分解すると、"持続的に"+"成立する"+"構造である"、これがビジネスモデルなのではと。
そして、ビジネスモデルを描くということは、ビジネスモデルの構成要素が分断されずにきちんと繋がり、一つの整合性を持ったストーリーに昇華できている状態を描くことである。そんな風に考えてます。

図解を用いると、、、、

ビジネスモデルの構造


顧客がいて、困り事があって、その困り事に対して渇望される価値を、手法(体験)を用いて提供する。当然これらは全て繋がり、整合性を持っていることが必要です。さらに、顧客や課題の集合体として市場が存在し、価値や手法に対して重複する競合が存在する。その中で、自社はなんで選ばれるのか、という戦略(優位性)が必要。そして、戦略や提供しようとする価値と手法を実現する位置付けで仕組みが存在する。仕組みによってコスト構造とコスト構造を踏まえた料金モデル(収入)が規定され、これらが収支としてバランスする。これが事業が成立する、という構造とその"繋がり"です。
そして、、
Going Concernの思想と同じく新事業においても持続性への観点と向き合う上で、事業活動を継続した結果新たに何が蓄積するのか、蓄積されたものがどこの強化につながり、結果何に還元されるのか(ex:書籍ECマーケットプレイスにおいて購買データが溜まり、レコメンド精度が強化され、顧客の購買体験に還元される)といった構造・繋がりを描くことも重要であり、これが"持続的に"という観点における構造とその繋がりです。
この各要素とそれらの繋がりによって生まれる全体構造こそがビジネスモデルである。と。そして素敵な企業、事業はこの各要素が明確に規定され、整合性を持った一つのストーリーとして語れるはずだと。


事業構想におけるゴールと、難しさ。

新事業開発においてはこのようなビジネスモデルを仮説検証を通じて描いていくこととなるのですが、、、
新事業開発ってカオスで複雑性を孕む領域だと思ってます。
なぜか。
上段で書いてみたビジネスモデルの構造を、ちょっと抽象度を高めた図解がこちら。

ビジネスモデルの構造(抽象度高めver)

ビジネスモデルにはミクロの側面とマクロの側面が存在します。顧客や困りごとや価値や仕組みといった要素は抽象度が高い状態だと意味がなく具体性を高め解像度を上げていくべき要素です。一方で、顧客や課題の集合体としての市場、ターゲットや、戦い方、収支計画といった領域は個別ではなく、ある程度の塊を持って、俯瞰的な視座で捉えなければいけない要素です。
その上で、各要素は整合性を持ってつながっている、これがビジネスモデルの全体像です。
で、事業開発の現場では、社として前に進めるべきかどうか、上申/上程の場がありますがそこでは色々な観点からビジネスアイデアに対してツッコミが入ります。市場性は?優位性は?収益性は?受容性は?実現性は?と。
ビジネスモデルを構成する各要素、それぞれに対して社として前に進めるべきかどうかの論点が紐づく。そんな構造。

新事業開発における論点


新事業構想では、こういった問いに向き合いながら、胸を張って各問いに答えられる、社内の意思決定者を納得させることのできるビジネスモデルを描いていくことが必要となってくるのですが、我々NEWhではビジネスモデルを描く、事業構想におけるゴールを「確信と確証を併せ持つビジネスモデルを描き切ること」と定義しています。
「確証」とはロジックや数値を土台として、このビジネスは行けそうという感覚です、一方で「確信」とはロジックや数値ではなく、顧客や課題などへの解像度を徹底的に高めることを通じて得られるある種の直感に近いような感覚、自信です。ロジックや数値のような左脳的側面と、直感のような右脳的側面の双方で自身のビジネスアイデアに対して「いける!」という感覚を作り出すこと、これが新事業構想におけるゴールであると考えています。

事業構想におけるゴール


とはいうものの、、、
ここで事業開発という領域の複雑さが出てきます。

ここまで図解を交えビジネスモデルを定義してみましたが、
ビジネスモデルを描いていくためには、
・そもそも向き合わないといけない要素が色々ある
・しかも、視座(マクロ/ミクロ)、頭の使い方を切り替えないといけない
・しかも、顧客のことを考えるのが得意な人、数字と向き合うのが得意な人がいるように、要素ごとに得意不得意が存在する。
・そんな中で全体の整合性は担保し続けないといけない。
うーん、ややこしい。
こういう構造と特性を持つ事業開発なので、
事業開発の現場では色々動いてみたが
・次に何をすればいいのかわからない
・今のビジネスアイデアの全体像が見えない、見えなくなった
というような"事業開発迷子"とも呼べる状態がよく出てきます。
確信と確証を併せ持つビジネスコンセプトを描きるのは、簡単じゃない。


「事業構想を書く」というアプローチ。

この事業開発、ビジネスモデルという領域の複雑性とそれによって生まれる事業開発迷子というケースに対しての解決策の位置付けで私たちが開発し活用しているのが「バリューデザイン・シンタックス」です。

バリューデザイン・シンタックス

横に連なる一つの長い長文と、縦に繋がる6つの短文で構成されている通り、このフレームワークの最大の特徴は「事業構想を(文章/言葉)で書く」というところにあります。

この「書く」っていう行為が実はとても有効で、重要かと思ってます。「書く」ためには手前で「言語化」が必要であり、言語化のためには要素を削ぎ落とすことが必要になってきます。事業開発、ビジネスモデルというカオスで思考が無限に発散していくような領域においては、この思考のプロセスは自身が描くビジネスアイデアの各要素と向き合い、枝葉を削ぎ落とし、幹を射抜いていく「精錬」とも呼べるプロセスであり、とても重要な気がします。

また、
書くことは、思考を「可視化」することでもあります。
事業構想は多様な職位や職種が異なるメンバーとの共創を通じて推進していくことが必要な領域である中で、この思考の可視化はかなり重要です。
思考の可視化によって共通認識のねじれが可視化され、議論が生まれて、共通認識醸成につながる。そんな効能もあるはずです。

そして最後に、書く行為は、自身の思考の濃淡・弱点を明らかにすることにも繋がります。深く考え抜けている要素は書きやすい一方で、曖昧だったり検証が不十分な領域はそもそも書けなかったり、書いたとしてもモヤモヤが残ったり。。これはまさに次に何をしたらいいかわからない事業開発迷子にとってはとても意味のある行為のはず。

まとめるとこういう構造。

「書く」ことの意義

仮説検証、共通認識を作っていく、そして自己の中で構想を研ぎ澄ましていく、これらの各サイクルのハブになるのが「書く」という行為であり、バリューデザインシンタックスは、この役割を担えるはず。だと捉えてます。


「バリューデザイン・シンタックス」の構造

ここまでつらつらと背景や意義について書いてみましたが、最後にバリューデザイン・シンタックス自体の構造について少し。

前半でビジネスモデルの構造を図解を用いて説明してみましたが、あのややこしい構造を、一つの長文の形式で落とし込んでいます。

バリューデザインシンタックスの構造

各要素の考え方や位置付けについてはまた別の機会に説明は譲りますが、
ビジネスモデル、というものの各要素、そしてその繋がりを「文章で書く」というアプローチ通じて、ある種無意識に向き合える、そんなフレームワークです。

また、バリューデザイン・シンタックスは事業構想において突っ込まれる6つの論点に対して、縦の短文でそれぞれ向き合っていく、そんな構造になってます。
事業構想におけるゴールは6つの論点に対して答えられる確信と確証を併せ持つビジネスモデルを描くことと説明をしましたが、言い換えると、このバリューデザイン・シンタックスを胸を張って語り切れる状態が、事業構想におけるゴール。そんなふうに言えるのでは、と考えてます。

バリューデザイン・シンタックスと6つの論点


以上、ちょっと長く&固くなってしまいましたが、
バリューデザイン・シンタックスの解説でした。
各要素の考え方や記載、活用の仕方等等はまた別の記事にて。


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