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法螺貝談義(第48話)

乙音のポイントを更に見ていきます。

乙音に関しては第12、13話でも取り上げましたが、上質な乙音を出すための重要なポイントがあります。

太くて芯のある乙音を出すには「唇の内壁」を使うことです。

唇の先端ではなく、普段は【口内に接している唇の内壁】による部分での振動がポイントです。

もっと細かく言えば内壁の奥です。

法螺貝を外した状態で出来ても、いざ法螺貝を口に当てて吹くと先端になりがちです。

吹き込む空気量と唇の振動ですが、

空気量はただ多ければ良いというものではありませんが、法螺貝の個体によって「最低量」というのがあります。

最低量を超えないと音にならない音、外れた音になります。

同様に唇の振動数にも「最低数」があり、足りないと、これも外れた音になります。

空気量と内壁の振動数が法螺貝の響きどころに合い、更に入れ込んでいくと音の波が細かくなっていきます。

迫力がありながら、不快感を一切感じさせない心地良い重厚な音が、聴いている人にスーッと気持ちよく入っていきます。

これはアタマでの解釈よりも先に身体が感受する音の響きです。

「良い・悪い」という相対性を帯びる言葉そのものを越えたところにある音域と言いましょうか。

それと、吹き口の内径をたくさん使うこと。(イラストの黄色の部分)

いきなりだと難しいですが、開けば空気量もたくさん入りますし、振動する範囲も増えます。

これが抜群の安定感のある乙音になり、聴いている人も安心します。

ちなみに「安心(あんじん)」とは仏教由来の言葉で、迷いや不安のない安らぎの状態のことを指します。

仮に、唇の先端で振動させると何が起こるのか?

音に芯がないだけでなく、吹き上げを試みると人間の身体は力みとともに収縮し、空気の通り道が狭くなることで「吹き上げ」の際に音が突然外れる現象が起きたり、狭いので少しの力の入れ方次第で音が不安定になったり、意図せず「返し」が入ったりします。

唇の内壁の使い方は、言葉とイラストだけではなかなか伝わりませんが、唇をただ開放するのではなく、引き締めながら開放し、気息を込めて、内壁を振動させます。

上の説明は部分だけを取り上げてますが、実際は全身との繋がりで成り立っていて、どこかに中心があるわけではありません。

本来切れ目のない身体全体で作業をやっていますし、大地も関わってきます。

関係性を味わい観察していれば、部分では無く「身体の構造そのもので吹く」感じが実感できてきます。

続けていくうちにやがて力まずに身体がくつろいで、簡単に出来てきます。

今回の乙音のポイントも個人的な私の実感の話なので、参考程度で捉えて実践されてみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=a_3Sj8qEyBk

↑この部分を震わせると音が太くなります。
↑狭いとすぐに「返し」が入ってしまったり、空気量が少ないので音もか細くなる。

YouTube「立螺」


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