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法螺貝談義(第34話)

法螺貝は「図に乗る」音色を出す事。

「図に乗る」という言葉は仏教が由来で、「図」とは法要などで唱える声明のこと指します。

そして、節や音階の変化の際に、うまく転調が出来ることを「図に乗る」と言います。

そこから「うまく物事が運ぶ」という意味になり、やがて「調子に乗って思いあがる」という少しネガティブな意味に変わっていきました。

声明の転調は難しいので、日々の積み重ねや研鑽がないと「図に乗る」ことはなかなか難しいです。

法螺貝においても「図に乗る」音を出す事が大切です。

次の音が来るのが楽しみと予感させることや、場面に応じて勇猛心を想起させたり、心地良くて聴きたくなる音や転調を意識したいものです。

一つ一つの音符である遍数(調べ、乙音、甲音、揺り、止め、半音などなど)の質と緻密な部分を練磨し、

そして、息継ぎのたびに吹く一つ一つの遍数は離れて独立はしていますが、その部分である遍数は全体である音符を構成する要素でもあります。

音符の始まりから終わりまでを、ひとつの総体としてみる目線も大事。

遍数と音符(部分と全体)の両方を意識する事。

世界の本来の姿である「重々帝網(じゅうじゅうたいもう)」の在り方は法螺貝においても同じです。

遍数(部分となる短かな音符)が他の遍数を、そして遍数が音符(全体・一つの曲)を輝かせるように、

音符は音の流れなので、一つの音を出し、息継ぎを経てまた次に続いて行く流れは、前の音符の遍数の後半あたりから始まっています。

そして最後はしっかり終わる。

全体を一つの総体として眺めてみたときにバラバラで、統一感の無い音色にならないように「図に乗る」法螺貝を奏でたいものです。

YouTube「立螺」


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