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法螺貝談義(第21話)

自分自身も含めて周りでも、なぜ法螺貝の魅力に取り憑かれる人がいるのかを考えてましたら、ふと易経の「火水未済(かすいびせい)」の卦辞を思い出しました。

易(えき)とは古来中国に伝わる、あの孔子も学ばれた東洋の叡知の哲学書の一つで、日本でも運命学の基本として今でも重宝されています。

易経には64卦(か)と言う、64種類の卦辞(教え・説明)があり、それには順番があります。

その一番最後に「火水未済」の卦があります。

火水未済とは「未だととのわず」と言った「未完成」の意味合いで、言い換えると「終わりが無い」という事。

64卦の63番目に完成を表す「水火既済(完成)」を置き、最後の64番目に「火水未済(未完成)」が置かれています。

これは太古の先人も世の中を観察し実感された真理の一つで、現代においても変わらない事象です。

法螺貝の魅力は
個体によって、形状や螺旋構造、大きさや重さが違います。

仮に、見た目の大きさや重さが同じ、2つの貝が目の前にあっても、最適なチューニングも違えば、吹き心地も音色も、貝によって全然違います。

仮に、貝が全て同じだったらと想像したら、途端に面白くなくなると思います。

だから魅力があるのだと思いますし、人によって持っている法螺貝の音色や、大きさや、セッティングも全部違うからこそ、人の法螺貝にまで関心が向くのかもせれませんね。

いろんな法螺貝があり
作る面から見ると、個体に合わせてチューニングも毎度違うので「終わり」がないし、吹く面から見ても、こちらの身体が変化してるから「終わり」がない。

終わりがないからこそ、楽しいと言い換えられるのかもしれません。

易経の「火水未済」と同時にベトナムの禅僧であるティク・ナット・ハンの言葉も思い出します。
「There is no way to happiness happiness is the way 」
これは「幸せへの道はない。幸せが道である」という意味です。

自分の中の理想への道中がなければ面白くありません。

法螺貝好きの人には少しわかる話かと思います。

YouTube「立螺」


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