見出し画像

都道府県立図書館交通アクセス・データベース東日本編

僕が住む街、青森県青森市には青森県立図書館があります。しかしこれがすこぶるアクセスが不便。

最寄りのバス停に行くバスは一時間に一本もありません。しかもここを通る路線は青森駅前のバスロータリーから出るものがほとんどなく、駅から歩いて10数分かかる国道沿いのバス停に行かなければ乗れません。比較的停まるバスが多い別のバス停は歩いて10分くらいかかります。

「地方は車社会だから」とは言え、何なんだこれは?というくらいのアクセシビリティの悪さ。県立図書館は単に青森市民に向けたものではなく、県民全体のための施設。つまり他の県内市町村から利用しに来る可能性も高いわけです。しかしその人たちが車で来るとは限らない。

僕は運転免許を持っていないですし、同居するパートナーも同じ。公共交通しか移動手段がありません。県立図書館に行く時、車以外で青森市に来た他の街の人と同じ条件ということになります。以前は比較的近くに住んでいたのですが、遠く離れた市内の別の街に引っ越してからはほとんど行かなくなりました。

僕は図書館のヘヴィユーザーなので、交通の便さえ良ければ必ず通います。でも県立はアクセシビリティの悪さによって利用者を一人ほぼ失ったわけです。なんだかもったいない・・・。やがて僕はこんなことを考えるようになりました。

他の都道府県立図書館の交通アクセスって、どんな感じなんだろう?

街密着型の市町村立とは違い、都道府県立はなんとなく「アクセスが良くない」イメージもありますよね。というわけで、各都道府県立図書館の公共交通機関によるアクセス情報をまとめてみることにします。

北海道立図書館
所在地は道庁所在地の札幌市ではなくお隣の江別市です。JR函館本線「大麻」駅から徒歩8分、約600メートル。札幌駅からの電車の本数も20分に1本レベルなので、アクセス良好ですね。

青森県立図書館
青森駅から4キロ強離れています。近くに鉄道駅はありません。最寄りバス停は青森市営バス「社会教育センター前」バス停ですが、本数はリンク先でご覧の通りの少なさです。いちばん本数の多いルートは、青森駅バスロータリー6番乗り場旭町通り線浜田循環(1時間に1本くらい)に乗り、「大野若宮」バス停下車後、徒歩10分というコースです。

岩手県立図書館
JR・いわて銀河鉄道「盛岡」駅西口から徒歩4分、いわて県民情報交流センター「アイーナ」内3、4階。いわゆる駅前(駅近)図書館で、アクセス超良好です。

秋田県立図書館
JR秋田駅から3キロ強離れています。ただし最寄りの秋田中央交通「県立体育館前」バス停(すぐ目の前!)と秋田駅西口バスロータリー間のバスは数路線あわせて少なくとも10~15分に1本程度あります。県立体育館前経由のバスならどれに乗ってもいいということですね。アクセスはなかなか良好と言ってもいいでしょう。

宮城県図書館
JR仙台駅から遠く離れた泉区の丘の上にあります。まず仙台駅から市営地下鉄南北線の北側の終点「泉中央」駅に行きます。泉中央駅から宮城交通バスで20~30分の「宮城県図書館前」「白百合学園前」バス停下車。それぞれかなり本数があるので、そこそこのアクセスの良さではないでしょうか。詳しくは県図書館HPのバス時刻表ページにて。pdfのリンクをクリックすると別タブで見るではなく問答無用でDLする仕様はやめて欲しい・・・。

山形県立図書館
JR山形駅からは2キロ強離れた「遊学館」内。徒歩だと30分弱というところでしょうか。山交バス「山形駅前」3番乗り場から沼の辺経由東北中央病院行きだと「遊学館前」バス停下車徒歩3分。または「山形市役所前」経由路線で同バス停下車徒歩5分。あわせて15分に1本程度あるので、まずまずのアクセスといったところ。

図書館の交通アクセスページによく見られる「バスで10分」とか「○○バス停下車」だけの記述、何の役にも立たないんですよね。最低限バス会社名、最寄りバス停名は必須。できたら路線名に時刻表ページへのリンクも。どのバスのどこ行きに乗ればいいのかわからないし、自分で調べるにしてもとても調べにくいです。はじめて来る人がどんな風にアクセス情報を調べて図書館までたどり着くか、そのストーリーを具体的に思い描いて必要な情報を載せて欲しいです。

福島県立図書館
JR福島駅からは2キロ弱離れています。歩けない距離ではありませんが(20分弱)、福島交通飯坂線でその名も「美術館図書館前」駅下車すぐ。だいたい20~30分に1本程度のダイヤです。また「福島駅東口」バス停から福島交通バス市内循環ももりん2コース「県立美術館入口」バス停下車。こちらは20分に一本程度。まずまずのアクセス。この図書館の交通アクセスページはほぼ完璧です。どの図書館もこれくらいはやって欲しいですね。

新潟県立図書館
JR新潟駅から4キロ弱離れた鳥屋野潟のほとりに建っています。新潟駅からだと「新潟駅南口」バス停3番線乗り場から新潟交通バス女池線女池愛宕行き新潟市民病院行き「野球場科学館前」下車。20分に1本程度ですが土日祝は1時間に1本。まずまずのアクセシビリティ。詳しくは図書館の交通アクセスページを。

県立長野図書館
JR長野駅から徒歩で10分以内若里公園の端っこにあります。駅近というわけではありませんが、この距離なら公共交通に乗る必要はないですよね。アクセスは良いと言ってもいいでしょう。

栃木県立図書館
JR宇都宮駅からは2キロ弱・徒歩20分強といったところ。もう一つの中心駅、東武宇都宮線東武宇都宮駅からは1キロ、徒歩10分強ですね。JR宇都宮駅からのアクセスは、西口バスターミナル1番、2番、6番、7番、11番、12番、13番からの路線に乗車、「県庁前」バス停下車徒歩5分。かなりの本数があるので、アクセスはまずまずでしょうか。

茨城県立図書館
JR水戸駅北口から徒歩10分程度。駅から少しの間、上り坂になっているので実際にはもう少しかかるかも。県立長野図書館、(東武宇都宮駅からの)栃木県立図書館と同じく徒歩圏内でアクセスが比較的良い都道府県立図書館と言えるでしょう。

駅から徒歩10分くらいの図書館が3つ続きましたがちょっと気になるのが、徒歩圏内だからと言って誰もが徒歩で来るとは限らないということ。足が丈夫な人ばかりではないですよね。駅から徒歩圏内の図書館の交通アクセスページは「徒歩○分」の記述のみとかグーグルマップ貼り付けてあるだけのことが多いです。多様な来館者を想定して、最寄りバス停や路線についてもいちおう載せて欲しいと思います。

群馬県立図書館
宇都宮市などと同じく、メイン駅が2つあるパターン。JR前橋駅と上毛電鉄中央前橋駅です。前者からだと徒歩25分、後者からは徒歩10分。前橋駅から県立図書館へのアクセスについては前橋市のHPがありがたいです。各種公共施設へのバス路線を掲載。市内を走るバス会社は3つあるらしく、どの社のものでも6番乗り場北部方面行に乗り「県民会館前」下車徒歩1分。アクセスまずまずでしょう。

前橋の例は、3社走っているので本数はすごく多いと予想されます。ただこの場合、時刻表を調べるにはそれぞれのHPに行かねばならず、その点だけは不便ですね。リアルの乗り場に行くと見られるはずの各社ごとの時刻表が、ネット上で乗り場別にまとめて見られると最高なんですけどね。

埼玉県立図書館
県庁所在地(さいたま市)に県立図書館がなく、しかも2館に分かれているという珍しいパターンです。それぞれ熊谷市と久喜市にあります。ややこしいので分けて書きましょう。

熊谷図書館
JR熊谷駅から徒歩約20分。駅からは国際十王交通バスのそれぞれ「葛和田」「くまがやドーム」「熊谷スポーツ文化公園」「箱田車庫」行きに乗り「ハローワーク熊谷前」バス停下車。バス会社HPで見る限り、行きは少なくとも10分に1本以上、帰りも15分に1本くらいはあります。アクセスなかなか良いです。

久喜館
JR久喜駅から徒歩約20分。久喜市役所のすぐ隣です。公共交通で行くには、久喜市内循環バスに乗って「市役所前」バス停下車すぐ。ただし時刻表を見ると本数は決して多くはなく、久喜市に着いた時間によっては歩かないといけないかもしれません。アクセスはそんなに良くないですね。

ところで埼玉県立図書館にはもう一つ「浦和分室」というのがあるのですが、こちらは熊谷・久喜両館から取り寄せた資料を閲覧・貸出・返却するためのものらしいです。

千葉県立図書館
埼玉県立図書館は2館ありましたが、なんと千葉県立は3館ある! 千葉市の中央図書館、松戸市の西部図書館、旭市の東部図書館です。というわけでこちらもそれぞれの館ごとに交通アクセス情報をまとめておきましょう。

中央図書館
JR千葉駅近くではなく、JR外房線で南に一つ隣の「本千葉」駅が最寄り駅です。本千葉駅から徒歩7分くらい。エリア内の他の駅、千葉都市モノレール「県庁前」駅からは徒歩5分、京成電鉄「千葉中央」駅からは徒歩15分。駅(路線)がいくつかあることをあわせて考えれば、徒歩圏内のアクセス良好館と言ってもいいでしょう。

西部図書館
JR松戸駅は最寄りではなく、その他3つの駅が最寄りとなっています。JR武蔵野線「新八柱」駅、新京成電鉄「八柱」駅か「 常盤平」駅のそれぞれから徒歩15分の「21世紀の森と広場」内。徒歩15分はやや遠いですね。でも、森と広場HPの交通アクセスページを見ると、「八柱」駅、「馬橋」駅、「新松戸」駅からそれぞれ新京成バスが出ている模様。詳しくはそちらを。

東部図書館
JR旭駅から徒歩15分の「旭文化の杜公園」内。公共交通としてはいちおう旭市コミュニティバス旭南ルート「十日市場」バス停が最寄りっぽいですが、1日数本のみなので歩いたほうがいいでしょうね。

東京都立図書館
こちらは東京駅からのアクセスを検討するのはナンセンスですね。都立は中央図書館多摩図書館の2館あります。前者の最寄り駅は東京メトロ日比谷線「広尾」駅(徒歩8分)、後者の最寄り駅はJR「西国分寺」駅から徒歩7分。いずれもすぐ近くにバス停もあり、バス路線情報についてはこちらの交通アクセスページをご参照ください。徒歩10分圏内なので、アクセス良好と言ってもいいのではないでしょうか。

神奈川県立図書館
こちらは県立図書館(紅葉ケ丘)川崎図書館の2館あります。それぞれ「社会・人文系リサーチ・ライブラリー」「ものづくり情報ライブラリー」と銘打たれ専門分野が違います。最寄り鉄道駅は、紅葉ケ丘のほうがJR「桜木町」駅で徒歩10分(ただし紅葉坂が急)、川崎のほうがJR「武蔵溝ノ口」駅・東急「溝の口」駅で徒歩15分。いちおうバスもあるようなので、そちらについてはそれぞれの交通アクセスページを。紅葉ケ丘は坂をのぼらないといけないので実質徒歩15分感覚ですよね。アクセスはそれほど良くもないといったところですかね。

山梨県立図書館
JR甲府駅北口から徒歩3分。しかもペデストリアンデッキで入口まで直結!これ以上説明が必要ない抜群の交通アクセスですね。

静岡県立中央図書館
最寄りのJR駅は静岡駅ではなく「草薙」駅です。でも徒歩25分。JR以外だと静岡鉄道静岡清水線「県立美術館前」駅のほうが近いですね。それでも徒歩20分くらいかかるようです。登り坂もあり。静岡駅からは静鉄バス県立美術館線が出ており「県立美術館前」バス停下車徒歩4分。県立美術館前駅も草薙駅もコース上にあり、どの駅からも乗れます。ただし本数は日中のみ1時間に1本というところ。詳しくは時刻表を。あまりアクセスは良くないですね。

岐阜県図書館
最寄り駅はJR岐阜駅ではなく、一つ隣の「西岐阜」駅ですね。徒歩14分。徒歩圏内と言っていいかどうかは微妙ですね。岐阜駅からは岐阜バス鏡橋市橋線市橋行きに乗り「県美術館」バス停下車徒歩3分。時刻表によれば1時間に1本くらいあります。岐阜駅からはもう一つバス路線があるのですがバス停から徒歩10分だそうなので割愛します。西岐阜駅からは「西ぎふ・くるくるバス」もありますが(県図書館・美術館バス停下車すぐ)、ちょっと本数少ないかなあ。

東日本の都道府県立図書館交通アクセスはこんな感じでした。メイン駅からすぐそこでダントツにアクセスがいいのは、山梨県立図書館と岩手県立図書館ですね。長野、茨城などもメイン駅から徒歩圏内で比較的良好でしょうか。意外だったのは宮城県図書館で、むちゃくちゃ遠い郊外にあるイメージでしたが調べてみたら泉中央駅からのバスの本数が多いのでそれほどアクセス悪くないということ。

いろいろ調べてみて改めて思ったのは、交通アクセスページには地図(自作でもグーグルマップでも可)、最寄り鉄道駅名、最寄りバス停名とバス会社名&路線名、そしてそれぞれの駅とバス停からの徒歩分数は最低限必須ですね。そしてできればバス時刻表へのリンクを張る。そのページを見れば行き方についてすべて解決する、くらいの情報は揃えて欲しい。「調べればわかるでしょ」という待ちの姿勢だとやっぱり利用者も増えないし、利用者に冷たそうってイメージも生まれちゃうんですよね。

都道府県立図書館訪問のご参考になれば幸いです。西日本編はまた後日。富山・石川・福井の3県は西日本に入れます。

図書館取材(と言っても旅のついでに訪ねるだけですが)は自腹なので、サポート、投げ銭などしていただけるとたいへん助かります。ありがたく経費に充てさせていただきます。

ここから先は

0字

¥ 100

フリーランスのため、みなさまのサポートは取材や執筆活動の貴重な経費とさせていただいております。また、サポートいただくとものすごく励みになります。最高のエネルギーです。よろしくお願いします。