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【日々の植物】ヤマフジ

桜の開花時期が過ぎ、つぎに目を惹かれるのは山藤の花だ。 車のフロントガラスの向こう、遠くの山々にも、うす紫色のもやがかかる。 川沿いのガードレールに立ち並ぶ樹々の上、山林と田畑の境目にたたずむ樹上にも。 あたかも、この樹の主人は自分だと言わんばかりの華々しさ。 目をこらして見なければ、からみつく蔓にも気づかない。 それほどに生気がつよい。 家の裏手にも例年必ず、山藤の咲く杉がある。 ブラウンやグレーの入り混じる杉の葉の暗緑色に、霞がかる紫とのコントラスト。 今

    • 【日々の植物】 オオデマリ

      玄関の扉を一歩出ると、昼下がりの日差しをはらんだ風が、心地よく肌をかすめていった。 数日前まで吹いていた、つめたさを残した風はどこへやら。 歩き慣れた散歩道を、ゆるやかに下っていく。 廃校になった校舎の隣。 とある民家の庭先から、枝先までめいっぱいに花をつけた低木が、歩道に身を乗り出していた。 咲き始めたばかりの大手毬である。 葉のみずみずしいグリーンと、手鞠サイズの装飾花のレモンクリームが、隙なくたがいに重なりあって、目にやわらかな印象だ。 球形の花に焦点を当

      • 12月の積読図書

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