【日々の植物】 オオデマリ
玄関の扉を一歩出ると、昼下がりの日差しをはらんだ風が、心地よく肌をかすめていった。
数日前まで吹いていた、つめたさを残した風はどこへやら。
歩き慣れた散歩道を、ゆるやかに下っていく。
廃校になった校舎の隣。
とある民家の庭先から、枝先までめいっぱいに花をつけた低木が、歩道に身を乗り出していた。
咲き始めたばかりの大手毬である。
葉のみずみずしいグリーンと、手鞠サイズの装飾花のレモンクリームが、隙なくたがいに重なりあって、目にやわらかな印象だ。
球形の花に焦点を当ててみる。
小さな花の一つ一つは、白・黄とそれぞれ色別れしている。
季節の移り変わりとともに、花は白さを増していくという。
けれど、この時期にしか見られない淡いイエローも趣深い。
そのふわりとした佇まいが、春先の風にはふさわしい。
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