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半年間ホームステイ。得られたのは自己形成、愛②

ある日、友だちのコンサートに招待されて
バスの車窓から、視界に染み付いた景色を
眺めてたら、ふと気が付いた

あれ?このバス遅延してない??

これはかなりの緊急事態で、乗り換えに失敗する
最悪のケースが訪れることを示してた。

どうしよう、どうしよう、
せっかく誘ってくれたのに、楽しみにしてたのに

焦りながらもダメもとで運転手さんに相談しに行った

ーこのバス遅れてますか?
ちょっとね
ー次のバスの乗り換え、間に合いますかね?
大事な予定があるの?
ー友達のコンサートに行きたいんです

状況を把握してくれた運転手さん
無線を繋いで色んな同僚に声かけてくれて
乗り換えのバスを待たせてくれた

無事に会場行きのバスに乗車できた私
そのチームワークと運転手さんの優しさに
涙がポロポロ止まらなくて
私も、あの運転手さんみたいに優しくなりたい、
と思った

カナダでの生活で私は
あの人みたいに!って目標にしたい人物に
沢山出会った
ロシアから来た物事をはっきり申すエレーナ
授業は楽しむものって精一杯の発言全部拾ってくれる、デイナ(教授)
ブラジルから来た陽気な子、突然サンバを踊り出す、シンチア

毎日大学に行くたびに、カフェ、スーパーに行くたびに素敵だなって人に出会った

コンサートが終わって帰宅
ホストマザーに一日のことを話すのが毎日の日課

私は感じていたことをありのままに話した
カナダに来て、沢山の人、あの子、この子、あの運転手さん、あなたに出会って私はその人たちみたいになりたいって思ってる、目標にしたい人物がいっぱいいる

ホストマザーはキョトンとした顔で
私の両手を優しく包み込んで、一言

あなたのままでいなさい
家、財産、家族、友だち、全てを失っても
自分だけは失ってはいけない
周りの人のいい所を少し盗むのは私もたまにする
でも、決してその人になろうとしてはダメ

全く予想していなかった返答で本当に驚いた
そうね!頑張って!って言われると思ってた

私がきっとずっと誰かに言ってもらいたかった言葉がその空間に静かに流れた。
涙も沢山流れてしまって、感謝も沢山溢れて
ずっとこの記憶を大切に生きていくって決めた。

ホストマザーはいつもそうだった。
いつも私を肯定して、ダメな時は叱ってくれた。
最後には絶対に抱きしめてくれた。
あんなに愛の大きい人を私は知らない。
異国からやってきた他人と暮らしながら
愛の出し惜しみを一切しない人。

私の余生に必要なことを溢れんばかりに教わったけど、私はそれを自分の人生に活かすというよりは、周りにいる大切な人のために使いたい。
あなたの長所少しだけ、頂戴いたします。

______________________________ホストマザーは私にとって母であり、友だちであり、姉であり、先生でもあった。彼女との関係を明確に定義することは不可能


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