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コラム:拠り所だった存在がひとつ、旅立ちました

依田真門(まこどん)

今月12日、自分にとって拠り所の一つだった存在が亡くなりました。
「松岡正剛」
享年80と聞きました。

40代の半ば頃だと思います。何かの偶然で同氏の『知の編集工学』という本と出会い、世界は実は多様な“編集”から成り立っているのだと知りました。「編集」と言えば、雑誌とか新書とか新聞とかの話だと思い込んでいたところが、会社もビジネスも、スポーツも動物園も人間関係もが、つまり世の中のすべては「編集」から出来ているのだ、と自分の現実解釈が根本的に組み替えられました。それと、普通に読んだら全く歯が立たないような難解な本も、「松岡正剛 千夜千冊」*のおかげで少し“分かった様な気分”にさせてもらいました。

その後大分経って「物語」への関心が高まった時は、同氏が校長を務める“イシス編集学校”が構成を担当した『物語編集力』を熟読し、“物語構造”の理解を高めたものでした。コロナで仕事の大部分がキャンセルとなったとき、時間を持て余すよりはましだろう、と深く考えることなく“イシス編集学校”の『守』コースに入門。そこでは数か月間、毎日大量の文章を読み書きし、結構厳しいトレーニングを受けたのですが、文章はあまりうまくなりませんでした。ですがその中で、“学び”においての「型」の大切さ、習得を進める中で「守」→「破」→「離」とプロセスを踏むことの意義は、トレーニングを通して、身体化されていったと感じています。もう10年早く来たかった、と正直思いました。

「千夜千冊」の最後のアップは2024年7月18日。1850本目でした。亡くなる3週間前まで活動を続けておられたことになります。今後更新されなくなるのは実に寂しく残念ですが、これまでアップされたすべてが、随時読める形で残されていることには大いに感謝したいと思います。松岡正剛校長のご冥福を心からお祈り致します。

*「松岡正剛 千夜千冊」https://1000ya.isis.ne.jp/

_/_/_/_/ ホープワークニュースレター vol.33_/_/_/_/
<希望の便り from ホープワーク協会>2024.8.23