土浦セントラルシネマズでの『真夜中の五分前』鑑賞と行定勲監督舞台挨拶
春馬くんを育んだ地にある土浦セントラルシネマズさん。
以前、映画『森の学校』の西垣監督が舞台挨拶をするということからその存在を知り、そこに行き、春馬くんの作品を見ることを夢見ていた。
5月の初旬に、来る6月、映画『真夜中の五分前』の行定勲監督が土浦セントラルシネマズに舞台挨拶にいらっしゃる、との情報を得た。
私、この映画ほんとに大好きで一時期記事を書きまくっていた。
だから、これは絶対に行かなければ!と思って張り切っていたが、5/15の土浦セントラルシネマズさんのTwitterで、その日程が5/29と発表された。
ん?その日は、ドリパスで『恋空』と『君に届け』のチケット予約してしまったじゃないかーっ!うう、その2作品もドリパス初だし、見たいっ。行定監督は諦めようかな・・・。
でも、私には後悔があるのだ。2019年の『キンキーブーツ』、ミュージカル好きのお友達のチケット先行予約をしてくれるというお誘いを、子供の進学で予定が読めないから、とパスしてしまったこと。再々演に行けばいいや、と思って先延ばしにしてしまったら、叶わぬ夢で終わってしまったこと。「次」は無いのかもしれない、やはり行けるときは行こう!
ドリパスの2作品のチケットは、心ある方が引き取ってくださった。これで心置きなく土浦セントラルシネマズに向かえる。
ワクワクして当日を迎えた。
土浦セントラルシネマズ
まだ家族も起き出していない時間に家を出発した。快晴。初めて特急ときわに乗り込みTwitterをチェックすると、まだ8時前なのに既に数十人並んでいるとのこと。土浦セントラルシネマズには1回あたり300名ほど入れるらしく、今回の行定監督の舞台挨拶は①11:00の回の後と②14:00の回の前の2回行われるとのこと。
土浦に到着し、スマホの地図に誘導されて歩いていくと、ご婦人たちが列をなしているのが遠くから見えた。
あれだ!急いで列の後ろについた。このとき9時少し前。これは、1回目の舞台あいさつに入れないかもしれないな。
列はじりじりと進み、レトロな雰囲気の建物の中に吸い込まれていく。階段を上り映画館ロビーへとたどり着きしばらくして、番号札が配られた。
(写真へたくそ過ぎ、お許しを)
私は225番。なんとか1回目に入れそう。チケット売り場に到着して手作りのチケットを購入できた時には、もう既に10時半をまわっていた。
番号順に劇場に入場し、空いている席に着席する。私は、スクリーンに向かって後方左側に陣取った。シネコンとは違い古い劇場なので立見席もあり、最後部の後ろに手すりが取り付けられていた。立ち見の方も10名以上いて、土浦セントラルシネマズの寺内館長さんが、行定監督舞台挨拶の時は後方へ回るという条件付きで映画鑑賞時のみ最前列へ着席できるはからいをしてくださっていた。それでも座りきれなかったのか、立って見てる方も数名いた。
そして、映画『真夜中の五分前』が始まった。
行定勲監督舞台挨拶
映画終了後、最前列の方々が後方へ移動。その後ほどなくして行定勲監督が入っていらした。テレビやYoutubeなどではそのお姿は何度も見ているが、生で行定監督を拝見したのは初めて。実際の行定監督は、スラっとしてシュッとしてとてもスタイリッシュな方だった。寺内館長さんの監督の紹介後、監督のフリートークと言う形で舞台挨拶が始まった。
動画撮影禁止、私は監督のお話に集中したかったのでメモを取っていない。なので、私の記憶の断片を掘り起こした中から、記憶に残ったことを備忘録として書いていく。
(1)春馬くん起用と上海撮影のいきさつ
これについては、『真夜中の五分前』のオーディオコメンタリーでもだいぶ話してくださっているが、詳細にお話してくださった。映画『東京公園』の春馬くんを見て、これから日本映画界で中心的に活躍していく兆しを感じ、映画を撮りたいと思い事務所に持ち掛けたそうだ。元々東宝でやる予定だったが、完成したシナリオが曖昧なある種哲学的な導き方をしたものだったので、もっとわかりやすい明快なものを求められたらしい。『恋空』のようなラブストーリーを想像していたとのことで。でも、春馬くん本人は少し大人になりつつありそこから脱却していて、自分と言うのは何者なのかということを見つめている時期で越境したいという気持ちがあったようだ、と。ただ、制作側となかなかストーリーの結末について折り合いがつかなくて作る手立てがなかった。そこで海外の企画マーケットに出し、「主演は誰ですか?」と聞かれて「三浦春馬」と答えたら、明らかに中国の引きが強かったという。非常にファンがいるということが分かった、と。そこで、上海に舞台を変更し脚本を書き換えた。その時に真っ先に考えたのは、日本人として数人のスタッフと三浦春馬だけ連れていくということだったそう。あとは全部中国で、三浦春馬と互角にやり合える俳優を中国でキャスティングしようと考えたそう。そこで、テレビ女優として人気のリウ・シーシーさんと台湾の大俳優チャン・シャオチュアンが加わりスタートしたとのこと。
(2)春馬くんの中国語のうまさ
有名な話だが、春馬くんの中国語の上達が目覚ましかったそう。当初、片言の中国語で話す青年という設定だったがみるみるうまくなったらしい。中国人スタッフによると中国語には片言ということが無く、話せるか話せないかしかないらしい。中国映画界では、外国人俳優の中国語が聞き取りずらいと勝手に吹き替えてしまうが、春馬くんは吹替がいらないくらい中国語がうまくなっていたそう。それでも、大半吹き替えられた中国バージョンと言うものが存在しているらしい。私たちが見ているのはインターナショナルバージョンと言う春馬くん本人がしゃべっているものとのこと。
(3)主人公リョウについて
主人公リョウについては、当初恋人を亡くし日本から上海に逃げてきた、というようなダメな青年という設定で考えていたが、春馬くんがどんどん中国語もうまくなっちゃうし時計職人としての腕はあげちゃうしで、ストイックで哲学的な感じに出来上がっていった、とのこと。
(4)リョウとルオランのラブシーンについて
リョウとルオランが日本語で「はな」とか「くち」とか言って笑いあうラブシーンは当初無言のシーンの予定だったが、撮影の合間に春馬くんがリウ・シーシーさんとの距離を縮めようと日本語を教えたりしているのを見て可愛いなと思って急遽入れたそう。
(5)一箇所だけ春馬くん以外の声の吹替が
サウンドプロデューサーのドゥ・ドゥチーさんが凄くて、喧騒がすごい上海なのにものすごく静かな映画になった、と。一番苦労したのはプールのシーンで、あまりの喧騒にここだけどうしても春馬くんの声が拾えなくて録り直ししようとしたが、春馬くん側の予定が合わず、中国人スタッフが春馬くんの声をまねて吹き替えたそう。後で見て、春馬くんも吹替だと気付かなかったそう。その箇所は、プールで溺れたルーメイを助け上げたリョウが言う一言の部分だそう。あとで、もう一度よーく見直してみよう。
(6)行定監督フィルターの春馬くん
上海での撮影は中断されることが多く春馬くんもイライラしていたとは思うがそういうところは出さず、揉め始めるとすっとその場から離れて自分の役を保つためにしていたと思う、とおっしゃっていた。
甘え上手で周りの人が彼にいろいろしてあげたくなる、母性本能をくすぐるのかな、と。端正な中にも色気があるが本能むき出しの色気ではない、と。キンキーブーツ後は自信、強味が出てきて変わってきたと思う、自信満々とか完璧主義とかではなくて、自信の無さ故あんなに努力していたのではないか、俳優の優等生だった、とおっしゃていた。
春馬くんは今この世にいないけれど居る時の方が幻を見ているようで、いなくなると実体を見ようとするところがある、というような観念的、哲学的なことをおっしゃっていた。魂は存在し続けていて映画の中に残っている、と。
(7)時折入る日本語はアドリブか
最後の質問コーナーでの、時折入る日本語はアドリブかという問いに対し、すべて台本通りだとおっしゃっていた。アドリブに聞こえるとしたら、そのように演技していたんだと思う、と。春馬くんは、この映画では中国語のセリフより日本語のセリフの方が緊張すると言っていたそう。日本人としてのアイデンティティを問われるようで緊張する、と。
以上は、私の記憶をたどったものなので言い回しなど正確でないところもあるかもしれない。それにより、行定監督の言いたいところが間違って伝わるのは本意ではないので、敢えて伝聞調で記述している。あくまで私のフィルターを通しているので、そのつもりでご理解いただきたい。
私は、1回目しか参加できなかったのだが、2回目の舞台挨拶ではまた違ったお話もされたとのこと。そちらは、Twitterなどでいろんな方が挙げてくださっているので興味がある方は探してみていただいたい。
行定勲監督、土浦セントラルシネマズさん、どうもありがとうございます
今回、だいぶ前の映画にも関わらず、ご多忙中わざわざお越しくださり貴重なお話をしてくださった行定勲監督、またこのように貴重な機会を設けてくださった土浦セントラルシネマズさんに心からの感謝を申し上げたい。
そして、ますますこの映画『真夜中の五分前』が大好きになった。
土浦セントラルシネマズさんは、とてもアットホームで温かい雰囲気で、数々の春馬くんの写真も展示してくださっていたりと、ほんとに癒される空間だった。さながら、三浦春馬記念館。ほんとにありがたい。
(写真、指入ってるし!へたくそ過ぎ、すみません)
少なくとも、あの時あの場所に集まった皆さんの想いは、春馬くんに対する愛情以外のなにものでもなかったと思う。
土浦セントラルシネマズさんからはきっと熱い熱い愛が立ち上っていたことだろう。春馬くん届いてますか?
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