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SWIFTって何?(その1)〜まずは中央銀行の役割

ウクライナ侵攻に対する経済制裁の一環として、ロシアの主要銀行がSWIFTから排除されるというニュースを見聞きした方は多いでしょう。SWIFTとは何か、多くの報道ではSWIFT「国際銀行間通信協会」とし、海外送金の要のシステムを運用、その情報システムからロシアの銀行が排除されたとされています。

私は新卒で銀行に入社しましたが、最初に配属された部署はこのSWIFTを含む、海外との通信を扱うセクションでした。ちょうど良い機会なので、当時を思い出しながら、ご存じのない方のために、海外送金の基礎を説明しましょう。

その前に、日本国内の送金メカニズムはどうなっているのかを、簡単に説明します。

仮に、私の娘、“金なき子”が「金送れ、10万円」と頼んで来たとしましょう。私が普段使うのは、近所にあるメガバンク、大日本銀行の自由が丘支店です。一方、娘は北海道に住んでおり、使っているのはどさんこ銀行の札幌支店。(架空の設定、念の為)

方法はいくつかあります。

大日本銀行の窓口かATMに行き、10万円を引き出し、札幌行きの飛行機チケットを買って娘に渡す。それはいかにも大層。むしろ、その10万円を持って郵便局に行き、現金書留の封筒を買い10万円を入れて郵送する。面倒かつ時間がかかります。

どさんこ銀行は東京駅のそばに支店があるので、そこに持ち込んで入金することもできます。これならすぐに“金なき子”の口座に入り、引き出しが可能となりますが、電車賃もかかるし10万円持ち歩くのも気持ち悪い。

ということで、殆どの人は銀行間の送金という仕組みを利用します。それも、大日本銀行自由が丘支店の私の口座から引き落とし、どさんこ銀行の娘の口座に送る。ネットバンキングを使えば、自宅にいながらできる。

大日本銀行の私の口座にある私のお金が、どうやってどさんこ銀行にある娘の口座に渡るのだろう。
そこには、日本の中央銀行、日本銀行が登場します。大日本銀行、どさんこ銀行を始めとし、日本にある銀行は日本銀行に口座を持っており、残高を有しています。

私は大日本銀行に行く、あるいはネット経由で、私の口座から10万円引き落とし、どさんこ銀行の娘の口座に入れるよう指示。

この指示を受けた、大日本銀行は私の口座から10万円引き落とす。そして、日本銀行に、大日本銀行の口座から10万円引き落とし、どさんこ銀行の口座に入金するよう指示します。

この指示と同時に、どさんこ銀行に対しては、「大日本から日銀にあるおたくの口座に10万円入るから、その見合いで札幌支店の“金なき子”の口座に10万円入金せよ」という指示が行きます。

こうして、10万は無事“金なき子”の手に届き、ATMから紙幣が引き出され、そのお札10万円はほどなく行方知らずとなるのでした。


このように、中央銀行が、銀行同士のお金のやり取りを仲介することによって、銀行間のお金が安全かつ迅速にやり取りがされるのです。まさしく、”中央”にある銀行の重要な機能の一つです

それでは、明日は海外への送金の場合はどうなるか? です

*少し違ったケースですが、絵で示したものです


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