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SWIFTって何?(その2)〜海外送金のメカニズム

昨日は、日本国内における送金メカニズムを書きました。私の説明など不要という方も多かったでしょう。

次に海外送金についてです。

昨日、私は新入社員当時、SWIFTを扱う部署にいたと書きました。当時、私の勤務していた銀行はSWIFTの導入を積極的に進めていたという状況でした。1984年のことです。

“導入を進めていた”ということは、SWIFT以外の方法があったということです。

それでは、海外送金の大まかな仕組みを解説します。(昨日に続き、ケースは架空の話です)

私の娘、“金なき子”は札幌での生活を終え、ロシアに留学します。“金なき子”は私に「日本から持ち込んだ生活費も底をついた。金送れ、1000ドル(12万円)。ルーブル(ロシア通貨)は価値の変動が激しいのでドルでくれ、銀行にはドルの口座も作ってある」と言ってきました。娘の口座は、ボリショイ銀行のモスクワ支店です。

私は昨日同様、大日本銀行に行きます。今度は海外送金手続きです。自分の口座から12万円引き落としてもらい、1000ドルに交換してもらい、娘の口座宛に送ってもらいます。

さて、大日本銀行はボリショイ銀行にこの1000ドルを渡すのでしょうか? 日本国内なら、中央銀行である日銀があるので、そこで仲介してもらうことができます。しかし、グローバル銀行のような大日本銀行とボリショイ銀行をつなぐ仕組みはありません。

そもそも、大日本銀行はドルというお金をどこに持っているのでしょう。まさか、金庫にドル紙幣を大量に保管している訳ではありません。単純化しますが、アメリカ外の銀行は米国内にある銀行にドルを預けています。大日本銀行はアメリカのマンハッタン銀行に口座があります。ボリショイ銀行もマンハッタン銀行に口座を持っていれば話は簡単なのですが、ボリショイ銀行はドルをブロンクス銀行に預けていました。

さて、マンハッタン銀行とブロンクス銀行はアメリカの銀行です。つまり、アメリカの中央銀行でつながっています。昨日の大日本銀行とどさんこ銀行の様に、お金のやり取りを中央銀行の仲介で可能です。

私の依頼を受けた大日本銀行は、次の行動を取ります。私から受け取った1000ドルを受け取り、マンハッタン銀行に対し指示を出します。「大日本銀行の口座から1000ドル引き落とし、ブロンクス銀行に渡し、そこにあるボリショイ銀行の口座に入金せよ」。私から受け取った1000ドルはいずれ、マンハッタン銀行にある大日本銀行の口座に入ります。

この指示だけでは、“金なき子”はお金を受け取ることはできません。なぜなら、ボリショイ銀行は何の連絡も受けていないからです。

従って、大日本銀行は2つ目の指示を出します。それはボリショイ銀行あてです。「ブロンクス銀行にあるあなたの口座に、マンハッタン銀行から1000ドルが入金される。それを見合いに、おたくのモスクワ銀行にある“金なき子”の口座に1000ドル入れてくれ」

ボリショイ銀行はこの指示を受け、ブロンクス銀行の自身の口座に1000ドルが入金されているか確認します。そしてお金が確かに入っていたなら、それを見合いに“金なき子”の外貨預金口座に1000ドルを入金sます。

昨日の説明から「指示」という言葉が頻繁に出てきています。銀行は口座にあるお金を勝手に動かしたりはしません。動かすためには、そのお金を持っている人、つまり口座名義人からの「指示」が必要なのです。我々は、さまざまな書類を書かされたり、ネットで入力するなりして「指示」しています。

それでは、大日本銀行はマンハッタン銀行およびボリショイ銀行にどの様な方法で「指示」するのでしょう。

ここにSWIFTが登場します


*この絵に当てはめると、Aは大日本銀行、Cはマンハッタン、Dはブロンクス、Bはボリショイ銀行となります。指示1はA➡︎C、指示2はこの絵にはありませんが、A➡︎Bです。


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