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ロッド・スチュワート@有明アリーナ(その2)〜79歳の“Sweet Little Rock’n Roller“

(承前)

“Young Turks“(1981年)でも、‘🎵 Young hearts be free tonight, Time is on your side‘の合唱。ほとんどの観客は“Young“ではないかもしれないが、皆“自由“であり、“時代は我らの味方“である。続いて、トム・ウェイツのカバー“Downtown Train"。この曲も、まるでロッド・スチュワートのためにトム・ウェイツが作ったかのようである。

このコンサートを通じて、(当たり前なのだが)バッキングするミュージシャンの質の高さが印象的だった。その中のコーラス陣が、歌い続けたロッドを助ける。ポインター・シスターズの“I'm So Excited"で会場を盛り上げる。

満を持して登場したロッド・スチュワートが披露したのは、“I Don't Want to Talk About It“、これまた「Atlantic Crossing」からの名曲。クレイジー・ホースのカバーだが、ロッドのこれは泣ける。

ロッド・スチュワートはロンドン出身だが、ある時期から父親の出身地スコットランドのグラスゴーを本拠地とするセルティックFCを強力にサポートするようになる。スクリーンにはチームに関連する映像が映し出され、ロッドは所属する前田大然を始め、多くの日本人選手の名前を挙げ、古橋のゴールシーンが流れた。

そうして入ったのは、“You're in My Heart (The Final Acclaim)“(1977年)。愛する女性を讃える楽曲だが、中に‘🎵君はセルティック(のように素晴らしい)〜でも君が出会った中の最高のチームだ‘という一節がある。“You"は、女性でもあり愛するフットボール・チームでもあり、もしかしたらロッドの愛する鉄道模型かもしれない。

大感動の2曲に続いて、ヴァン・モリソンのカバー、“Have I Told You Lately“(1991年)を歌われたら、女性じゃなくとも、“かっこいい!“とつぶやいてしまうだろう。

女性コーラスによる、パティ・ラベルで有名な“Lady Marmalade“をはさみ、今度はティナ・ターナーに捧げる、“It Takes Two“。マーヴェン・ゲイ&キム・ウェストンのヒット・デュエット曲を、1990年にロッドはティナと共にカバーした。

コンサートは最高潮に達する中、“Someguys Have All the Luck“(1984年)そして、ディスコ最盛期のヒット曲、“Da Ya Thnk I'm Sexy?“と最後まで走り切った。

アンコールは、やっぱりこれを聴かなければ帰れない、“Sailing“(1975年)。この大合唱で終演かと思いきや、1974年の「Smiler」に収録した、チャック・ベリーの“Sweet Little Rock'n Roller“。原点回帰のような熱演で、本当の最後となった。

長い長いキャリアを重ねて、しかも相応の年齢になっているにも関わらず、歌声のみならず全身を使って楽曲を表現しようと全力を振り絞っていた、‘Sweet Little Rock'n Roller'を地でいくロッド・スチュワートの姿。彼が伝えようとしたメッセージは、観客一人一人に突き刺さったことと思う


2024年3月20日 セットリスト@有明アリーナ

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