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“ユーミン万歳!“〜デビュー50周年記念ツアー「The Journey」(その4)

(承前)

引き続き、コンサートのネタバレ記事なので、ご注意を。



最後に、セットリストをもう一度見てみよう。コンサートが終わり、ふと思った。前年の「深海の街ツアー」で演奏された曲は一曲も披露されなかったのではないかと。

昨年書いた通り、私は松任谷由実の熱烈なファンというわけではなく、音楽配信サービスのおかげで、彼女の作品を全て聴く事になった。もちろん、耳慣れた曲も多数あったが、それ以上に膨大な量の作品群に驚いた。

したがって、これから書くことは、コアなファンからすると当然のことなのかもしれないが、セットリストを眺めた私の感想を記述する。

比較したのは、2016年から2017年にかけて行われた、新アルバム「宇宙図書館」ツアー、2019年のデビュー45周年ツアー(この2つはU-NEXTで配信あり)、2022年の「深海の街」ツアー、そして今回の「The Journey」という、4つのメジャーツアーの東京公演の1日である。(出所 LiveFans

下の表は、それぞれのセットリスト。赤文字は、「宇宙図書館」「深海の街」というニューアルバムからの演奏である。そして、青文字ゴシックは、この4回の中で1度しか登場しなかった楽曲である。新曲の中では、“宇宙図書館“が45周年でも取り上げられたのみである。

私の予想通り、「深海の街」ツアーと今回では、重なる曲はゼロである。さらに、相当な数の曲が、過去4回のツアーで一度きりである。

その理由の一つは、松任谷由実がそれぞれのツアーについて、異なるコンセプト、テーマ等をもとに組み立ていることがあるのではないか。前回のツアーにおいては、「深海の街」、ウクライナ問題、コロナ禍なども背景にしたコンサートだった。今回は、新米航海士が海賊船上での経験を綴った日記をたどった。

こうしたある種の物語を頭に置きながら、それにフィットする楽曲を選ぶという側面があるだろう。

それができる背景は、前述の通りの膨大なレパートリーである。松任谷由実は、これまで39枚のオリジナルアルバムをリリースしている。例えば、山下達郎は数え方にもよるが25枚程度、桑田佳祐とサザンオールスターズは、合わせて20枚。いかにユーミンが多作か分かる。

結果的にファンの立場からすると、好きな曲を聴くためには1回のコンサートでは不十分であり、リピーターとなる。そんな構図が成り立つ。

昨年の7月NHK-FMがユーミン特集を放送した。聴取者投票で選ばれたベスト50が放送されたようで、その様子について書かれた記事をNOTE上で発見した。このベストとセットリストを比べてみるのも面白い。

こうして記事にすると、私も次のツアーに行きたくなる。掘り下げたくなるのは、松任谷由実の力であり、次の機会が楽しみである


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