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“ユーミン万歳!“〜デビュー50周年記念ツアー「The Journey」(その3)

(承前)

引き続き、コンサートのネタバレ記事なので、ご注意を。



コンサートは後半へと進む。“セイレーン“の後、“Blue Planet“(2006年)、“Delphine“(1995年)とスローダウンしていく。この辺りの緩急のつけ方が絶妙で、まったりとした空気の中、空中にはイルカが泳ぐ。

松任谷由実が姿を消し、舞台上はパフォーマンスで一旦つなぐ。そして、アップテンポのイントロが流れ、“LOVE WARS“(1989年)、舞台脇から竜の首が伸び、顔の上に乗ったユーミンが歌い出す。思わず笑ってしまう演出の中、歌唱は続き、そして竜は炎を吐く。

男性コーラスのラップをフィーチャーした、“Now Is On"(1999年)。そして、怒涛の“星空の誘惑“(1983年)、“埠頭を渡る風“(1978年)、“真夏の夜の夢“(1993年)の三連発。

クライマックスが近づいた空気が醸成される中、新米海賊の航海というテーマの舞台を閉じるのは、やはり“航海日誌“(1975年)。エンターテイメントの世界から、ぐっと心の奥底に響く楽曲にシフトできるのが、松任谷由美の素晴らしさだと思う。

こうして、 本編は終了。アンコールへと向かった。

再度登場したユーミンは、「私は新米の船乗りでありたい」と語った。50年近く、あるいは何度も歌ってきた楽曲であっても、常に新鮮な気持ちで作品と向かい合い、聴衆に届けたい。そういった意味ではないかと思う。

そうして、始めたのは“守ってあげたい“(1981年)。この曲の、‘🎵遠い夏 息を殺し トンボを採った もう一度あんな気持ちで夢をつかまえてね‘、‘🎵日暮まで 土手に座り レンゲを編んだ もう一度あんな気持ちで夢を形にして‘というフレーズは、これぞユーミンという素晴らしい詩だと思う。

そんな感慨にふけっていたら、“やさしさに包まれたなら“(1974年)。ユーミン節全開で終了かと思いきや、“春よ、来い“(1994年)を歌った。素晴らしい演奏、コーラスを聴かせてくれたメンバーが紹介され、彼らとユーミンは船の舞台を降り、通路から退出した。

流石にこれで終演という感じを後押しするかのように、「本日の公演は全て終了しました」というアナウンス。多くの人が出口へと向かう中、拍手を続ける熱心なファン。そして、それに応えるようにユーミンは再度登場。

相当気持ちが高ぶっている様子でお礼の言葉などを発した後、伴奏が始まり“瞳を閉じて“(1974年)が始まった。

ユーミン、万歳!

蛇足ですが、下のシングル盤ジャケットを見て、“守ってあげたい“のB面が“グレイス・スリックの肖像“だったことを知りました。渋いカップリングです



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