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どうしたオールブラックス!〜ひるがえってジャパンの経験値は

ラグビー南半球の四カ国対抗戦、「ザ・ラグビー・チャンピオンシップ」、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンが、ホーム/アウェイで2試合ずつ対戦する。移動距離も、結構なものである。

第3節が終了し折り返し地点となっているが、現在なんとアルゼンチンが1位である。この大会の前身は、3カ国によるトライネイションズ、2012年からアルゼンチンが加わった。

アルゼンチンは格下の感が否めず、欧州6カ国対抗のイタリアのような存在だが、それでも2014年には初勝利を挙げる。最下位が定位置ではあるものの、W杯のため短縮開催だった2015年3位、2018年は最下位ながらも2勝と存在感を徐々に増してきた。

今年の大会では、初戦はオーストラリアに26−41で敗退、やはり力の差はあると思ったが、第2戦は48−17と逆に完勝した。

問題はニュージーランド・オールブラックスである。 2019年の日本でのワールドカップ終了後、イアン・フォスターがヘッド・コーチに就任。現在は、来年のフランスW杯に向けて、チーム作りに励むステージである。

ところが、8月29日現在、オールブラックスの世界ランキングは史上最低の5位である。その背景だが、秋の欧州ツアー、ウェールズとイタリアには快勝したものの、フランス、アイルランドに敗れる。そして、7月ホームでのアイルランドとの3連戦。初戦は42-19で大勝するも、第2戦12-23、第3戦22-32と連敗し負け越す。

そして開催中のチャンピオンシップ初戦は、南アフリカに10-26で敗れる。テストマッチ3連敗、ヘッドコーチの去就も取り沙汰される中で、南アフリカとの第2戦、敵地に乗り込んだ。

序盤リードしたオールブラックスだが、南アフリカに逆転を許し、今日も駄目かと思われたが、終盤の2本のトライで逆転し、35-23で勝利。オールブラックスの底力と執念を見せられ、これで復活かと思わされた。ただ、英TIMES紙には懐疑的なコメントが掲載されていた。

<良い試合だったが、80分でチームを評価するのは不十分。この試合は、例外的な状況でプレイされた>、<感情が明らかに平常とは違う状態でのパフォーマンスを維持することはできない>と手厳しかった。

そして迎えたアルゼンチンとの初戦。南ア戦の勝利でリセットされたNZが快勝するだろうと予想していた。その予想は、前半32分、NZの2つ目のトライでほぼ確信に変わった。しかし、アルゼンチンはPKをことごとく決め、離されずに着いていく。そして後半には立て続けにトライを決め、逆にオールブラックスは後半ノートライ、アルゼンチンが25−18で勝利、番狂わせを演じた。

なお、オーストラリアは、25−17で南アに勝利。南アはオーストラリアのホーム・ゲームでは、何故か勝てない。こうして、大会は大混戦の様相を呈し、今週末それぞれ第2戦を迎える。

オールブラックスの不振、アルゼンチンの頑張りを見ていると、ティア1国の間の実力差が縮まっているように感じる。日本も先日のフランス戦では好ゲームを展開し、なんとかついていこうとしている。

ただし、アルゼンチンはこうしたヒリヒリするテストマッチを、チャンピオンシップで6試合戦う。さらに、遠征ツアーでのテストマッチも体験する。こうして積み上げられた経験値は、チーム力の底上げに大きく寄与する。

アルゼンチンほどの活躍にはなっていないが、6か国対抗等で力を蓄積しているイタリアも、何かのきっかけで大きく躍進する可能性がある。

ひるがえって日本はどうだろう。残念ながら、代表としての真剣勝負の場があまりにも限られている。あまり悲観的になるつもりはないが、次のW杯で日本はアルゼンチンと同組。日本がアルゼンチンのように、NZに勝つ姿は想像できるだろうか?

チャンピオンシップでプレイする選手の多くが、日本のリーグ・ワンのチームに加入している。それは素晴らしいことで、日本ラグビーの実力アップに寄与する。ただ、代表チームの強化には、もう一段の仕掛けが必要だとあらためて感じた



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