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石塚真一x NUMBER8「BLUE GIANT EXPLORER」完結〜宮本大はアメリカへ

「BLUE GIANT」(以下、BG)で、ジャズプレーヤーの道を歩み始めたテナー・サックス奏者の宮本大。世界No.1プレーヤーを目指し、仙台を離れてヨーロッパに渡る。そこでの出会いと成長を描いたのが、前作「BLUE GIANT SUPREME」(以下、BGS)。

JAZZの本場、アメリカに渡った宮本大はどうなるのでしょうか。その答えを提示する「BLUE GIANT EXPLORER」(以下、BGE)、「ビッグコミック」(小学館)の連載が終了、単行本最終巻(第9巻)が発売されたので、全作を手に取りました。

冒頭登場するのは、アメリカの大地。。。。ではなく日本の運転免許試験場。アメリカ行きをひかえて免許取得を目指す宮本大、そしてかつてのバンド仲間玉田との再会です。ここで、重要な話が登場します。

ピアニスト沢辺雪祈(ユキノリ)のことを話す二人、玉田の口から<「雪祈もアメリカに行ってるよ。向こうの学校に入って、作曲の勉強するんだってよ。」>(「BGE」より)。雪祈ファンには、たまらない一言ですよね。大と雪祈はアメリカで再会するのでしょうか。

「BGE」を読み始めた時、「あれっ、絵のタッチが変わった?」と思いました。「BG」と「BGS」を見返したのですが、改めて三作における絵の雰囲気が違うように見えました。私は技術的なことはまったく分からないのですが、仙台・ヨーロッパ、そしてアメリカの空気感が絵から湧き出ています。タッチはどうあれ、素晴らしい画力だと思います。

もちろん、前作同様に画面からは音が飛び出してきます。音楽を生み出す、宮本大と新たな仲間たち。素敵な人々にフォーカスをあてながら、“ちばてつや的“マンガの王道を本作でも貫いていきます。性善説に立った、あるいは人間の強さを信じる健全な世界を描くのです。

1981年、大学2年生の夏休み、友人とアメリカを一周したことを思い出しました。私は、サンフランシスコからスタートし、シカゴから東海岸。南下し、マイアミ、ナッシュビル、ニューオーリンズ、ダラス、そしてロサンゼルスといった感じです。

その時感じたアメリカの“若さ“、“活力“、“多様性“、その中での様々な体験が私の一部を構成していることでしょう。

宮本大はシアトルからスタート、私の旅行とはずいぶん趣が違いますが、各都市の特徴を自分の血肉に変えて行ったのでしょうか。是非、彼の体験を共有して下さい。

次なる旅は、ようやく第1巻が発売された「BLUE GIANT MOMENTUM」、完結してから読むつもり。いつでしょうか。待ちきれません!



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