大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」スタート!〜落語鑑賞の一助にもなりますよ
昨年の大河ドラマ「光る君へ」。私の好きな「源氏物語」の世界を背景に描かれ、1年間楽しませてもらった。
今年は、江戸のメディア王、蔦屋重三郎を描いた「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。これまた私の好きな、浮世絵・歌舞伎、そして吉原が登場する。
第1回目の放送は、視聴率12.6%と「光る君へ」を0.1%下回り史上最低と報道されているが、録画・配信で観る人が多くなった中、どの程度信用できるものだろうか。いずれにしても、私は第1回の放送に満足、これからを期待している。
古典落語には吉原など遊郭を舞台とする演目が多数ある。遊女と客の関係を描いた“廓話“、「文七元結」や「紺屋高尾/幾代餅」といった人情噺など色々。
こうした噺の中には、吉原の“大門(おおもん)“、“花魁(おいらん)“、“大店/大見世“、“張見世“、“引手茶屋“、“北国(ほっこく)“、“御歯黒溝(おはぐろどぶ)“といった、日常的には使用しない言葉が登場する。話の流れで、大体のところは分かるのだが、イメージがわかない方も多いだろう。
「べらぼう」の第1回は、そんな方のために、全てが映像として、さらに綾瀬はるかのナレーションも加えて提示してくれる。さらに、吉原のしきたりも含めて。つまり、落語に興味のある方にとっては、格好のドラマになっているのだ。
落語の中で、吉原のガイドブック的な書物として、“吉原細見“という書物が登場するが、これを考え出したのが蔦屋重三郎こと蔦重。蔦重は、第1話では廓に出入りする貸本屋だが、「品川心中」で花魁と心中未遂するのが貸本屋の金蔵、「干物箱」で若旦那の身代わりになるのが貸本屋の善公、落語世界では有名な職業である。
蔦重を演じるのは、映画「正体」の演技に感心させられた横浜流星。“伝説“の花魁となる花の井、のちの五代目瀬川を演じるのが小芝風花。彼女が客を取る「松葉屋」も実際に存在した妓楼である。
考えてみれば、吉原は本質的には売春宿。そんな場所を舞台とした大河ドラマ、制作するNHKも大したものである。
共演者も多彩だが、よしながふみ原作、NHKドラマ「大奥」(年末に再放送されていた)で、第五代将軍・徳川吉宗を演じた冨永愛が、大奥総取締・高岳を演じる。彼女のために仕立てられた豪華な着物が、再び日の目を見ているのか。
渡辺謙の田沼意次は、初回から存在感たっぷり。歌舞伎界のホープ、中村隼人が“鬼平“こと、長谷川平蔵宣以を演じる。
落語ファンのあなたはもちろん、江戸文化に興味をお持ちの人にも、今年の大河は面白いと思いますよー