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M・W・クレイヴン「ストーンサークルの殺人」〜名コンビの行方が気になる

Amazon Audibleで何か聴こうと思ってブラウズ、引っかかったのがM・W・クレイヴンの「ストーンサークルの殺人」(ハヤカワ・ミステリ文庫)です。2020年に邦訳が出版された作品で、英国推理作家協会の最優秀長編賞“ゴールドダガー賞“を獲得していました。

取り掛かる前に、もう少し検索していたら「WEB本の雑誌」に、“3作目で大化けしたM・W・クレイヴンの『キュレーターの殺人』に肝を潰す!“という見出しの記事が掲載されていました。ならば、3作目に取り掛かる前に、第1作を読もう(聴こう)と、通勤電車の中で聴き始めました。

“ストーンサークル“とは、<柱状または板状の自然石を環状に配置した巨石記念物。祭祀遺跡または墓地と推定される。世界各地に分布する>(明鏡国語辞典第三版)。

小説の舞台は、ストーンサークルが多く残るイギリスのカンブリア州、イングランド最北でピーター・ラビットで有名な湖水地方〜レイクディストリクト地域を有します。主人公は国家犯罪対策庁(NCA)の警官、ワシントン・ポー。NCAは重大犯罪に対して、地方警察レベルだけではなく国として対応するための組織ですが、ポーはカンブリア州に住んでいます。

そしてそのカンブリアで連続殺人事件が発生、犠牲者はストーンサークルで焼き殺されていて、マスコミは謎の犯人を“イモレーション・マン“と呼びます。“イモレーション“とは、<1.神への供物として殺すこと>、<2.殺すこと。とりわけ焼き殺すことを指す>(「ストーンサークルの殺人」より)。

この犯人を追って、ポーとNCAのスタッフが動き始めます。なお、本作の原題は「The Puppet Show(人形劇)」です。

流石に賞を取っただけあり、よくできています。捜査は一歩前進すると、謎が一つ増えるという調子なのですが、次第次第にボヤけていた映像がクリアになるようにストーリーは進んでいきます。

この小説を魅力的なものにしているのは、もちろんワシントン・ポーのキャラクターですが、もう一人重要な人物がいます。NCAの分析官ティリー・ブラッドショー。簡単に言うと“オタク“なのですが、この人物が作品を盛り上げてくれます。ポーとブラッドショーのコンビは本作で誕生し、謎にそして背後にある闇に挑んでいきます。

余談ですが、Audibleを聴き始めた時は“テリー・ブラッドショー“と聞こえました。古いアメリカン・フットボールのファンの方にはお馴染みですが、70年台のピッツバーク・スティーラーズを牽引、スーパーボウル優勝4回の名QBと同名だと思ったのです。したがって、彼同様ちょっと頭髪の薄い男性をイメージしていたのですが、聴き進むと女性だと分かりました(笑)。“テリー“ではなく“ティエリー“、“マチルダ“の愛称です。

ポーとブラッドショーのパートナーシップはどう深まっていくのか、そして積み残された感のある課題にポーはいかに取り組んでいくのか。うまい具合に第2作につながる展開になっています。

聴取後、第2作「ブラックサマーの殺人」を聴き始めました。早く“大化けした“第3作に進みたいので


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