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知っておきたい、「感度と特異度」の意味

医療文献を見るとエビデンスとして頻繁に出てくる【感度】と【特異度】

この言葉が意味しているものを改めて整理、解説します。

感度とは?

例えば感度60%が意味する事を考えると、ある病気に100人がかかっていたと仮定して、60人(60%の人)に陽性反応がでる検査を意味します。

残りの40人(40%)は、病気にかかっているにも関わらず、検査結果は陰性とでてしまいます。
(=誤った診断結果が出てしまう。偽陰性)

特異度とは?

同じく特異度60%で考えると
ある病気に対する検査で、病気に罹っていないのに検査結果が陽性にあることが40%の割合である事を意味します。(=偽陽性)

インフルエンザの場合で考えると

インフルエンザ迅速検査(鼻に突っ込みゴリゴリするやつ)は、感度60% 特異度98%程度と言われている。

数値は日本医事新報社より引用

これを整理すると、インフルエンザ迅速検査キッドでは、インフルエンザにかかっているのに検査結果が陰性と言われる人が約4割いる。

しかし、インフルエンザに罹っていないのにインフルエンザと誤診を受ける可能性は2%という事を意味します。

インフルエンザ流行期に高熱と節々の痛みを伴う症状がある場合、この所見の感度は80%程度と言われていますので、迅速検査キッドより陽性を多く拾える事になります。
(その分特異度が低く、インフルエンザではないのにインフルエンザと言われてしまう事も多い)


では、新型コロナウイルスについてはどうでしょうか?

新型コロナウイルスに対する、PCR検査は感度が30〜70%、特異度が99%程度と言われています。

つまり、コロナウイルスに罹患していても、検査結果が陰性になることが、70〜30%の割合である事を意味します。

実際、報道を見ても一度目の検査で陰性で、2回目や3回目の検査で陽性と診断せれている人が多く見られます。

特異度は99%と、検査で新型コロナ陽性と出ればほぼ間違えなくウイルスに罹患していると言えそうです。


腰椎ヘルニアに対するMRIの場合

腰椎椎間板ヘルニアのMRIの感度は約96%で、特異度が25%と言われています。

数値引用月刊臨床整形外科より

つまり、ヘルニアを見落とす誤診は少ないが、ヘルニアではないものをヘルニアと診断してしまうリスクが75%あります。


理学検査との総合で考える

もちろん多くの整形外科医はこの数値を知っており、MRIの結果だけを持って腰椎椎間板ヘルニアと診断するわけではありません。

例えば、SLRテストは特異度が約50%、crossSLRテストは特異度が約80%のなっています。

数値引用 腰椎椎間板ヘルニア診断ガイドライン

このような結果を複合的に判断して、診断にあたります。

まとめ

感度60%=40%陽性の人を見落とす。
特異度60%=40%陰性の人を陽性と誤診する。


文章
株式会社本沢メディカル
本沢整骨院
群馬県館林市小桑原町1057-3
0276-75-5120
本沢博文

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