見出し画像

1.THANKS BOOKS(땡스북스)

THANKS BOOK (땡스북스)

ソウルのホンデ(홍대입구)駅から一駅先のハプチョン(합정)駅から徒歩で5,6分歩いたところにあるTHANKS BOOK(땡스북스)。周りには飲食店やカフェが立ち並び車もあまり通らない通りから一本入ったところにTHANKS BOOKはある。

新刊書を中心として、文房具、CD、ZINEが本と一緒に自然と置かれており韓国の本屋の入り口の役割を果たしてくれる本屋だ。

○厳選された本たち

画像1

○本の配置

ドアを開けると目に入るのは、空間の大部分を占める本棚を兼ね備えた細長いテーブルと、その上に置いてある本たちだ。この本棚を中心に本の配置が決まっている。
まず、テーマごとに選ばれた本、「땡스, 초이스,(”thanks choise”)」、スタッフのコメントついた本が天板の上にズラッと並んでいる。

画像5

これはスタッフが読んだあとに心に残ったものを書いた小さな黄色の紙が本の上置いた形で展示をしている"땡스,페이퍼"(thanks, paper)というものだ。

そしてその天板の下の本棚には上に置かれた本と対応するようなジャンルの本がより詳細に置かれている。そして、壁側にある大きな本棚にはもっと全般的で多くの本が置かれている。

このように
① 机の上("thanks,choise","thankse,paper')→ ②机の下 →③壁側の本棚と 配置をおおまかに3つにわけることができる。
この3つの場所にまったく別の本が置かれているわけではなく、全て共通する本が置いてあり、それぞれ一緒に置かれている本が違うのでまた違った文脈で本を見つけることが出来る。

この本棚の配置からわかるように、本を多角的に見せる工夫、そして厳選された本たちが置かれており取り扱う本は多くはないが、整理されておりわかりやすい。

画像2

(THANKS BOOKSを支えているこの本棚兼机(?)は横側にも本が展示ができる)


○新しい本に出会う瞬間

画像3

THANKS BOOKSには月ごと、週ごとに入れ替わる本にまつわる展示が行われるのも特徴だ。上の写真はその一つ、「THANKS BOOKS 今週の本」(땡스북스 금주의 책)。毎週1冊本を紹介する。私が行った日は一冊は、齋藤陽道さんの「異なる記念日」の翻訳版「서로 다른 기념일」。

画像4

これは店の奥にある展示コーナー。月ごとに内容が変わり、本だけでなくグッズや、それにまつわる作品が展示されている。この展示は韓紙をとりあつかうデザイン工房"달실"(タルシル)の運営者、김기란(キム・ギラン)さんの初めての著書”自由な心”(자얀스러운 마음)の展示が行われていた。

上の展示を「小さな展示」といえば、大きな展示は店の外からも見える。

画像6

出版社と連携して今年の10月で生誕100周年、10回忌を迎える映画監督"エリック・ロメール”に関する展示が、ショーウィンドウを始めとして様々なところで行われていた。グッズや、それにまつわる本、そして読者を巻き込んだ参加型のイベントまで、小さな空間のいたるところにこの展示会にまつわるものが置いてあった。(栞のようなサイズのカードに「私の格言」を書く)

画像7

○独立書店の入門店
THANKS BOOKSは2018年にホンデ駅前にあった店舗を隣の駅のハプチョン駅の周辺に移転した。それと同時に今まで販売をしていたドリンクの販売を辞め、本中心の空間になった。THANKS BOOKSが開店した2011年には本を読む空間がなかったが、その後大型書店でも本を読む空間が整えられ、本を中心とした場所に戻したという。(実際その後多くの独立書店に足を運んだが本を中心とした空間よりカフェを併設した「読む」空間が多い印象を受けた)しかし、本を読む空間がなくなったわけではなく窓の近くに椅子が置かれておりそこでゆっくり本を読むことも出来るし、少し物を書くことができる。

画像8

大型書店のように大きすぎず、けれど小さすぎず、そして普遍性はあるけれど個性も感じられるという独立書店を初めて訪れる人への入門書店のような書店だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?