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都市伝説:近い未来の経済や労働についての考察

ーーAIやロボットによって、人の仕事が奪われていく。奪われないためにどう生きるべきか?
といったようなネガティブな文脈で語られる、未来の仕事の話。仕事が奪われたらヤバい!どうしよう!
AI化が進んだ先にある未来は、果たして本当にそうなのだろうか?

"生存のために必要" だった労働がなくなっていく

産業構造の変化というのは、学校でも習ったことがあると思う。

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* 第一次産業 ⇒ 農耕、林業、漁業など
* 第二次産業 ⇒工業、加工建設
* 第三次産業 ⇒サービス、金融、情報

この産業構造の変化、というのは、その時代の世界の課題対象の変化として捉えられると思う。

昔の時代では、生命活動を維持するために確保するべき、衣・食・住の安定化・最低限の確保というのが大きな課題だっただろうし、人の欲求段階でいうところの1段階(生理的欲求)や、2段階(安全の欲求)を満たすことが最優先で、それをクリアするための第一次産業への人的リソースの配置だったと捉えられる。

だけどこれは、農業革命や、産業革命によって、課題解決・低コスト化されていき、さらに先進国だけをとってみれば、外注化(国外からの輸入)によってリソースを大きく割かなくても良くなった。

そして人は、よりクオリティの高いくらしの実現を目指すようになり、第二次産業、第三次産業が発達していった。

つまり、目の前の課題がクリアされることで、人の欲求のステージが上がり、対象とする課題が代わり、それに合わせて産業も変わっていったというふうに捉えることができると思う。

第三次産業とは、サービス業、金融業、情報業のことを指すらしいが、僕はそれぞれの業界を以下のように捉えている。

* サービス業 ⇒ 承認欲求や社会的欲求を満たすなにかを労働力(人)によって提供し、お金を得る職業
* 金融業 ⇒ お金というシステムに支配された世界で、お金によってお金を生むハッキングを頑張ってお金を得る職業
* 情報業 ⇒ 承認欲求を満たすなにかをコンピューターやシステムによって提供したり、工数のかかる仕事を自動化することに労働力(人)を使い、お金を得る職業

お金によって、お金を生む金融の世界については、また別途まとめでお話したい。

そして現代はこれらの第三次産業が、極端な情報通信技術の進化によって低コスト化していっているフェーズと言えるだろう。

ムーアの法則というのは、皆さんもご存知だろう。大規模集積回路の性能の成長速度について論じた指標で、超ざっくり説明するとコンピューターの核ともいえる半導体の性能は2年ごとに倍々に伸びていく、指数関数的な成長をするという法則だ。そして、実際にCPU、ストレージ、ネットワーク、それぞれが、その法則どおり指数関数的に成長しているらしい。それを利用した自動化技術も指数関数的に成長していくことが容易に想像できる。
AIについても同じく指数関数的に成長しており、2045年には人類の知能を超えるシンギュラリティが起こるとされている。

労働者の目線にたって考えてみると、今まで自分の仕事としてやるべきだったものが、仕事じゃなくなっていくということだ。たしかに、一時的に職を失う人々は発生するだろう。

しかし、ここで思考実験的に、AIや機械化が極限まで進歩した世界を想像すると、違った世界がみえてくる。
つまり、その世界とは生きるためにそもそも人間の労働力が必要ない世界だ。
現代の僕たちは生きるためにお金が必要で、それを稼ぐために、最低限の労働をする必要があると思っているかもしれない。
けれど、ひと一人が提供するべき労働力が、ひと一人が生きていくためにかかるコストを下回るとき、僕たちは生きていくために働く必要がなくなる。

衣・食・住が安定して供給され、第一〜三次産業で必要とされていた労働もAIと機械によって実現され、生きるために大きなコストを必要としない(お金を必要としなくなる)世界。つまり"生存のために必要" だった労働がなくなっていくということだ。

余談だけど、この"生存のために必要" な労働がなくなったとき、それを実現するのがベーシックインカム制度ではと思う。机上の空論のように話だけが漏れ聞こえてくるこの制度は、上記のように人類が生存していくために、人類の労働が必要なくなったときに、初めて実現されるのではと僕は思っている。

なので、冒頭で述べたようなAI化が進んだ未来について、僕が言いたいのは、「仕事がなくなる」とかそういう問題ではなく、そもそも"その職を失う人たち"がなにもしなくても、これまで通りのクオリティの暮らしが手に入るような未来になるということだ。

実現した未来で起こるのは"人類の死"

人々の課題の中心は、より高い次元の欲求である承認欲求、自己実現欲求に移り変わっていくのだろう。今でもすでに、インスタ,TikTok,youtubeなど様々なSNSでこれが実現されていってるように。特に重要視されるのは、娯楽や楽しさ、趣味生きがい、承認欲求と自己実現。マズローの欲求5段階説が、人類規模で4段階、5段階にステップアップし、人々が求める中心になってくるということだ。

第四次産業は、より強力な承認欲求と自己実現を満たす世界を人々に提供するための産業かもしれない。様々な制約を取り払える仮想現実世界にて、それらを実現していくことになる可能性が高そうだと思う。
けれど、その時代では実は、それも全てAIが実現してしまうほうが、効率的なのかもしれない。人が人の進化に貢献できなくなったとき、目的を失い、僕たちは生きる意味を見失ってしまうのではないだろうか。

まとめ

1. 第一次産業の就業人口が減っていったのと同様に、第三次産業の労働人口が多い現代も、AI化、機械化、自動化によって、人的リソースが不要化し低コスト化していく
2. 究極のAI化、機械化、自動化の進化の先を考えたとき人は生きるために労働力を提供しなくても良くなる
3.結果としてやることがなくなった人々の課題の対象(欲求の矛先)はより上位の段階の4段階(承認欲求)や5段階(自己実現の欲求)にフォーカスされるようになる
4. 第四次産業は、上記の欲求を実現するための手段を提供する人たち、手段を用いて上手に欲求を満たす人々がお金(=信用)を集める時代になる




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