忘れてないよ初夢
『忘れないで初夢』のつづき
家賃の取り立てもなく、静かな正月。
12月はちょっとした臨時収入があって、14日遅れで振り込むことができた。大晦日にチャーシュー用のかたまり肉が買えたのは、そういう理由である。
通勤定期も切れたため、年末に6ヶ月分をクレジットカードで購入した。
定期更新の前月に振込まれる給料には、定期代が上乗せされる。だから一瞬にして大金持ちになる。だがそれは定期を買うためであって、家賃を支払うためではない。
それは使ってはいけない臨時収入であった。
1月か2月あたりにドーンとやってくる、莫大な額の引き落とし。
これを私は、決して忘れてはいけない。払えたような気になっているが、全く解決の目処が立たぬまま2018年に持ち越してしまった大問題だ。
その不安が記憶の奥底を刺激したのだろう。恵比寿様ではなく、津村記久子様が私の夢に登場した。
さてようやくここで、初夢の話に繋がります。
会社の人に読まれたら叱られそうなことまで書いてしまったが、決して無駄な脱線ではなかったことはお分かりいただけただろうか。夢を見るにも伏線があるのである。
スーパーでもファミレスでも書店でも、何気なく貯まっていくポイント。気付けば、え、こんなに貯まってたの?と驚くほどだ。
それをもし、ある日突然、全会員がいっせーのせでありったけのポイントを使ったら。
あくまでも私の想像だが、それは会社にとって、大変な事態ではないだろうか。
一応赤字にはならない仕組みで成り立っていると思いたいが、「いっせーのせ」は想定外だ。しかし、何かが引き金になってそういう暴動みたいなことが起こる可能性は、決してゼロではない。
…という世にも恐ろしい妄想を話したことがあったのだ。津村さんは、おもしろがりつつも真剣に心配してくれた。そういうところ、すごく好き。
私は、次に会う時までに、少なくとも自分の店レベルでできる対策を考えておく、と宣言したきり忘れていて、逆に津村さんが考えてきてくれた。
ポイントを書店員の手作りクッキーと交換したらどうやろ?
……うん。
すごくあったかくてほのぼのしていい感じなんだけど、規模が町内会とか子供会とかのレベルだ。うっかり評判になってしまったら、書店員は毎日何枚クッキーを焼いてこないといけないのだろうか。お家でクッキーを焼く時間に給料が発生するとも思えない。
初夢で津村さんが私に思い出させた「去年やり忘れていた何か」とは、お金では買えないサービスをポイントでちょくちょく交換してもらって世の中に保有されすぎているポイントを減らしつつ、お客様にも「あ~ポイント貯めててよかった~」「いい使い方したな~」と思ってもらえるようなアイディアを考えておくことだったのだ。
手作りクッキー以外でな。
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