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お別れホスピタル 最終回 感想

NHK土曜ドラマ お別れホスピタルが完結しました。
今回はその感想をいくつかの項目に分けて書いていきたいと思います。

※1話の感想と最終回の感想のみ書いております。


池尻さん

今回フォーカスされた人物の1人です。
いつも権利書を数えさせていた池尻さんは、今回で逝去。

大切にしていた権利書を飲み込んで逝くという、彼女らしい最期を迎えました。

最期の前のシーンでは愛犬と触れ合う場面も描かれていました。
この場面で池尻さんがいつも看護師である主人公の腕をつねるのは、愛情表現ではないのかという話になります。

劇中ではいい話として描かれているように感じます。

しかし僕はこの書き方には反対です。
と、いうのも、つねると言うのは一般社会では立派な暴行です。

このケースは現実世界の医療現場、介護現場で問題になっているはずです。
いわば罰する事の出来ないパワハラ、モラハラ、暴行なのです。

ここを単純な美談にしたのは、ちょっと現場の人に対するリスペクトが足りないのではないかと思いました。

なぜ問題提起する様に書かなかったのかな。と思ってしまいます。
ただ、彼女の死に様は本当に彼女らしくて良かったと思います。

本庄さん

自殺した本庄さんはクリスマスパーティーに幽霊として現れました。
主人公も本庄さんについてはずっと考え続けている状況です。

ただ自殺について深く切り込むことは無かったのかなと思います。
苦しむ前に死ぬ。という事に対する是非や考え方を描いて欲しかったと言うのが正直な感想です。
ドラマで自殺について描くのは難しいのかなと思いました。

ただ本庄さんを裁くことは神にしかできないのだろうなとも思いました。
主人公が悔しい思いをしたと描かれますが、この感情についても正しいとか悪いとかではないのでしょう。

個人的には死んでしまった人に対しては優しくしてあげて欲しいなと思います。

全体的な感想

本庄さんが自殺したこと。
ひきこもりの息子が母を生かすために、痛みの伴う手術に同意する事。
昔、先生をしていた女性が生徒に禁じたリップをすること。
寝たきりの夫を残して妻が先に逝く事。
植物状態の娘を残して自分が癌になってしまった母親。

とにかく理不尽な出来事の多い作品でした。
またその出来事に対して、答えを出さずにありのままを描くと言うスタイルだったのかなとも思います。
原作が未完の様ですので、あえて書かなかったのかもしれませんが。

しかし主人公が本庄さんに対して焦らなくても良かったと言ったのは、主人公なりの考え方なのかなと思います。

いずれ人は死ぬのだから、自ら死ななくてもいいのではないか。
この考え方は興味深いし、賛同する方も居るのかなと思いました。

その他に関して、例えば安楽死や尊厳死、池尻さんの暴行については、深く取り上げられることは無かったかと思います。

個人的には切り込んで欲しかったなと思いますが、理不尽が襲い掛かってくる様を写実的に描き上げたのかもしれません。

ドラマとしては綺麗だったと思います。
ただ何か社会的に新しい価値観を提示したり、選択肢を示したり、製作者サイドの意見を述べている様な所は無かったと思います。

もちろん全ての創作物が意見的である必要はありません。
やはり写実的に淡々と描かれたドラマだったと思います。

それに人生は4話程度で語るには複雑すぎるのかもしれません。

どうやって死ぬか。
普段は考えない事を主人公と共に考えることができる良いドラマだったのかなと思います。


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