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#52 宇宙物理学者・観山正見「宇宙人はいる、のか?」(2022.3.18&25)

今回のゲストは会議最長齢では? 御年71歳の宇宙物理学、観山先生。なんと国立天文台の台長を務められたこともある方で、いろんな著書もお持ちです。

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観山先生、実は広島のご出身。それが宇宙に目覚めたきっかけとか。

故郷は東広島市の福富町ですごく星がきれいなんです。家がお寺だったので家には哲学や仏教学、倫理学の本が山ほどあって、そんなのを見るとイヤになるじゃないですか(笑)。ゆくゆくお寺を継ぐことは考えてたんですけど、ちょっと別なことがしたいと思って、中学時代から理論物理学者の湯川秀樹先生やアインシュタインにあこがれて。で、物理学の中にも素粒子とか小さな世界を扱う学問の他に、宇宙のいろんな出来事を調べる大きな学問があって、そこから宇宙に入っていった感じですね

ここでいきなり観山先生から逆質問。

「宇宙人っていると思います?」「宇宙人に会ったことあります?」

いやどうでしょう……とまごまごしてると、先生の口から恐るべき事実が。

宇宙に生命がいるかいないかは、私の予想ではあと10~15年でわかります。高等生命・宇宙人がいるかどうかも30~40年でわかります。ただコミュニケーションはできないです。宇宙は広いんです。一番近くの星に国際宇宙ステーションが向かったら、着くまで10万年かかります。光で4年。電波でやりとりも難しいです。人間が電波を発明したのが100年前だから、地球が発した電波は100光年しか届いてないわけです。コミュニケーションはできないけど、もしも我々みたいな生命体が電波を使ってるとして、はるか彼方の過去に出た人工的な電波をキャッチすることができるかもしれない。そんな優秀な電波望遠鏡があと30~40年くらいで作れるはずなんです

え、宇宙人がいるかどうかわかっちゃうの!? あと10~15年くらいなら生きてるうちにわかるかも。しかも生命の痕跡を電波でキャッチする……スケールの大きな話に、脳みそがグーンと拡げられます。

酸素って地球に最初からあったわけではないんです。二酸化炭素か一酸化炭素だけだったけど、藻ができて光合成をして大気に酸素が含まれるようになった。ということは遠くの惑星に酸素があることがわかれば、地球と同じような生命体がいることがわかるんです

今度は酸素による生命判断。宇宙物理学ってこういうことなんですね。

さきほど先生、実家がお寺と言っておられたけど、宇宙物理学者の他に僧侶という肩書もお持ちで、「宇宙のことを調べていくと仏教とのつながりがあって、世の中って面白いなって思ってる」んだとか。

我々の銀河系って太陽が1000~2000億個集まった集合体なんです。で、銀河は銀河でたくさんあって、銀河が集団になると「銀河団」になって、その先にまた大きな宇宙がある。つまり銀河~銀河団~大宇宙という3階層になってるんです。で、仏教の世界にも同じような宇宙観があって、それが3階層。構造も似てるし、宇宙も仏教の言葉で言う「輪廻」みたいことを繰り返してるんです。星の世界も138億年の間に繰り返しがあって、それが何度も続いてる――昔のインドの人は宇宙を知らないはずなのに、世界観が近いんです。「お釈迦さんって最初の科学者じゃない?」って言った人がいるほど論理的なんです

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宇宙の果ては138億光年って果てしない気持ちになる数字です。先生は宇宙と仏教を考えて71年、若い人に伝えたいことはありますか?

人間は細胞でできてるじゃないですか。何個の細胞でできてるか考えたことあります? 60兆個なんです。お父さんとお母さんからいただいた1個の細胞が60兆個になって今の自分がある。そう考えると、いろんな自然とか親とか友達とか「おかげさま」で70年間も生かされてきたんだなぁ、と。そう感じると他人に対しても、なるべく感謝されるようなことをやりたいなと思いますね

宇宙のこともまだまだわからない。果ての果ての果てなんて全然わからないみたいです。

宇宙で我々が見えてるのは4%しかないんです。残りの96%は見えなくて、そのうちあと20%くらいはダークマターと言われるもので占められてないと説明がつかない。それ以外の75%は見えないけどモノがある=ダークエネルギー。なぜそういうものが「ある」ことがわかるかというと、そこにチカラが作用しているから。いま、宇宙人がいるかどうか話をしてるけど、我々が宇宙についてわかってるのは4%だけ。96%はわかってないんだから、これからなんですよ

果てしない宇宙、果てしない人生。観山先生の話を聞いてると、大きなものに抱かれてる気持ちになります。自分なんてちっちぇーな、って。

みんな最近夜空を見たことあります? 夜空を見上げて、あの先にいろんな世界があって、我々を構成する元素も宇宙から来たものだと思うと、いろんな悩み事が軽くなるかもしれないよね。宇宙の向こうから自分を見てる姿に置き換えてみると。毎日ばたばたしているけど、時々は暗いところにいって夜空を楽しんでみてください

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2022.3.2 on-line

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