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宝石屋なのに指輪が欲しい人の気持ちが分からない事

身近にあったジュエリー


ボクは宝石職人の息子で親戚は宝石の石留め職人であったり、ジュエリーケース屋だったりと身近にジュエリーや宝石がありました。

といっても製作途中の物であったり、出来上がった物を見ても綺麗だとか美しいだとか思った事がありませんでした。

ただの物体と言うか指輪だったら指輪だとかネックレスだとかその程度の物でした。
不思議と思われるかも知れませんが当時はそれが当たり前で何の疑問も持ちませんでした。

身近にありすぎたジュエリー

今から考えると恐らくジュエリーが身近にありすぎて綺麗だとか高価な物だとかそういった感情がなかったのかも知れません。

家にあるのは職人の仕事道具がいっぱいある作業場。それも普通の一軒家の一室ですから綺麗という感想がないのも当たり前かも知れません。

それにデパートや路面店で宝石やジュエリーを見ても「こんなの家にあるなぁ。」といった感じで、皆がうっとりしている横を通っても見向きもしませんでした。

何を見ても感動するとかビックリするとかはありませんでした。そういった物に対する感受性が全くなかったと言っても良いのかも知れませんね・・・

働き出しても身近にあるジュエリー

そうして働き出した所は宝石卸業で周りはジュエリーばかり。普通の人から見ると信じられない状況でしたが、職場も古ぼけた雑居ビルの一室で周りもビルばかりで真っ暗で、およそ宝石屋が入居しているとは考えられない場所でした。

だいたい宝石卸などどんな事務所はそんなものですが、それさえ不思議とは思いませんでしたし当たり前でした。

そして、宝石屋とは言え卸業で眼の前にはジュエリーが数百点以上あるという事でそれが普通の状況。見放題触り放題なのでありがたみもないといった感じ。

今考えれば少しはありがたいと思えよ。と思いますが、目まぐるしく変わる在庫状況や色々な種類の宝石やジュエリーがあるので、ジュエリーが身近にありすぎました(^^;)

少し綺麗だとか美しいと感じだす

そいういった状況でしたが、人とは不思議なもので本当に綺麗な物を見ると目が肥えている分、本当に綺麗だと感じるようになるのです。

デパートでは数百万円、数千万円になるような宝石類を目にすると価値は分からない物の、綺麗な物、美しい物が分かるようになり「これは綺麗や。」と感じだすようになりました。

ダイヤモンドはもとより、エメラルド、ルビー、サファイアといった貴石、アレキサンドライトや珍しいトルマリンなどその他の宝石類も目にしましたし、製品になっているジュエリーに関してもとんでもなくキレイな物も目にしました。

そうすると綺麗な物、美しい物などが本当に綺麗だと感じるようになってきました(^^)

ただ、問題もあります

確かに綺麗な物や美しい物などを見る事は見ていても、欲しいと思うような物でも、他の人がどうしてそれが欲しいのか。どうやって宝石を購入するのか気持ちが理解出来ませんでした。

物を欲しくなるという気持ちや心理は理解出来るのですが、それは例えば自分が欲しい物であったりする訳で、宝石やジュエリーに関しては基本的な興味が売る為の物という認識で欲しいという認識ではないのでなかなか理解が出来ませんでした。

今でも売るという事に関しての興味はあるのですが、自分の好きなデザインや商品を売るという事なので、婚約指輪であれば婚約指輪を購入する人の気持が分からないといった感じです。

自分の価値観や好みが違うのかも

あまりにジュエリーに囲まれた状況の場合、そういった物が人生の必須アイテムと感じる事がなかったという事。

そして、基本的にジュエリーを身に着けるという事に対しての興味がなかったという事があるのかも知れません。

ボクの個人的な考えは「婚約指輪や結婚指輪もなくて大丈夫。」といったものなので、人がジュエリーを見て「これ欲しい!」という気持ちも分かるのは分かりますが、「なるほどぉ」くらいしか分かりません。

ただ、綺麗な物や美しい物なので、ネットショップを運営して販売しているという感じです。一応小さな頃から目にしていますし職業として宝石屋なので、プロですから(^^)

シンプル好み

自分が欲しくて作った物や身に着けるジュエリーはシンプルな物ばかりなので、そういった気持が少ないのかも知れませんが、どんな物でもシンプルな物が多いかも知れません。

そういった事も含めてギラギラしている、ガチャガチャしているものはなるべく扱わないようにしています。

自分の好きなモノしか扱わないのはそうった指輪が欲しい人の気持ちがあまり分からないからなのかも知れません。

そうった事も含めて、販売する人間としては素人なのかも知れませんね(^^;)

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