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よりよく生きるために、自分の働き方を「最適化」してみる

私の仕事道#2 M・Oさん(ライター)

20代のころから働き方を模索してきました。金融・保険の仕事を経て、30代の今はライターとして活動しながら、自分の働き方を「最適化」する実験をしています。

人生の転機では、選択の先に予想外の展開もありましたが、共通しているのは「よりよく生きる」を探すことでした。以前は「お客さんが喜んでくれたら、それが自分の喜び」でしたが、自分の体調をないがしろにしていた側面も。他者への貢献やお金のことも大事です。でも、このごろは自分が健康的に生きてこそ他者のコップが満たせる、と考えています。

【略歴】大学卒業後、金融機関の営業を経て、保険代理店で営業・事務を担当。副業でライターを始め、24年から専業ライター。主にライフスタイルや組織マネジメント、美術展などのウェブ記事を執筆している。ブックライターを主軸にすべく準備中。


金融・保険の4社を経験

就職活動で当初志望していたのはメーカーでした。でも手相占いで「あなたは金融に向いていますね」と言われたのをきっかけに、金融に興味を持つようになりました。占い師曰く「マニュアルをもとに、細かく進めていくのが得意そうです」と。

金融関係の会社説明会に行くと、保険をはじめ無形の商品を扱うことに興味が湧いてきました。お客さんから思いや考え、家族構成、時には友人にも話さないようなことまで伺い、おすすめの商品を提案することに魅力を感じたのです。

新卒で入った金融機関では4年間、営業を担当しました。通帳を預かったり、保険を販売したり、仕事としてはマッチしていて、やりがいもありました。ファイナンシャルプランナー2級の資格を取ったのもこのころです。でも、営業に対してやる気のない先輩を鼓舞する役目や、お客様本意なのか疑ってしまうような教育もする会社のカラーになじめませんでした。

もっと顧客のためになる仕事がしたいと、保険専業の代理店に移りました。来店型の会社です。プラス思考の転職ができたと思ったものの、人の入れ替わりが激しい職場でした。年間休日が一般的な企業より少なく、勤務はシフト制。このころに結婚したのですが、配偶者とは休みが合わず、体力的にも結構きつかったですね。

それで選んだのが企業代理店。企業グループの中で、従業員向けの保険商品を扱っている会社です。土日休みで喜んだのも束の間、採用前の説明と実際の業務にかい離があって、メンタルの理由から数カ月休職することになりました。顧客の数に対して社員が足りず、忙しさでいら立っている人も多く、中には厳しく言ってくる先輩も。言われて大丈夫な人もいますが、私は駄目でした。医師からは「今は判断できないから、ゆっくり休んで、戻るかどうか決めたらいいよ」と助言があり、勧められた散歩と日光浴で、少しずつゆとりと元気を取り戻しました。先輩からは「辞めないよね」と詰められましたが、戻ることはありませんでした。

その次も企業代理店です。お客さんも同僚も優しい方が多く、接しやすかったですね。業務量も想定内の忙しさでしたので、過度にイライラしている人がいない、とても穏やかな職場でした。

ブロガーからライターに

転機はコロナ禍でした。リモートワークが始まると、体力的に余裕が生まれ、通勤を節減した時間でブログを始めました。実は1社目のころから働き方や副業を調べていて、ブロガーのことが頭の片隅に残っていました。書き方はインフルエンサーのヒトデさんのブログやYouTubeを参考にしました。私の場合、目に付いた商品、使ってみた商品を取り上げて、アフィリエイトを貼ったのですが、マネタイズが全然意識できてなくて、当時のブログの収入は月数百円ぐらい、記事もうまく書けない。

そんな時「ブロガーは最初にライターをするといいよ」という誰かの発信を目にして、いずれはブロガーに戻る気持ちで、修業のつもりでウェブ記事のライターを始めました。まずは自己啓発系で、しっかりしたマニュアルがある初心者OKの案件を受けたのですが、マニュアルを読むうちに「記事って、こんなにたくさんの要素を考えて作るんだ」と知って驚きました。

1記事書いて納めたら数千円もらえて、ブロガーとは大違い。すごくうれしかったですね。20記事ぐらい納品した時、クライアントから「どんどんうまくなっています。素晴らしい」と評価されたのも励みになり、やりがいを感じました。

執筆分野はライフスタイル、組織マネジメントに広がり、Kindleでは副業・仕事術などの自著を3冊出しました。趣味を生かして、美術展の内覧会取材もしています。

ただいま「適正化」実験中

断捨離をして、モノをあまり持たない、無駄遣いをしない生活になりました。その効果で20代に比べると、今は貯められるお金が増えてきて、その分を投資に回しています。このまま会社員と副業を40〜50代と続けていけば老後は安泰かな、と何となく思っていました。

そこで、ふと疑問が。お金をそんなに使わないのに、なんで長時間労働しているんだろう。しかも私はロングスリーパーで、健康を保つには毎日9〜11時間の睡眠が欲しい。それなら家族や睡眠、趣味を優先しながら、働き方を最適化できないだろうか。実験する過程で会社員の肩書きを1回手放してみようと思ったのです。今年1月、専業ライターになりました。

もしかすると今後、短日数の勤務やパートに就くことを考えるかもしれませんが、当面はライター業に集中です。本を書く「ブックライティング」を主軸にしようと準備しています。もともと本を読むのが好きなので、その分野の力になりたい。ブックライターは著者となる人にインタビューして、思いや言葉を引き出します。私は内向型なので、自分が目立つより、誰かをサポートすることが得意です。自分に合いそうな仕事では、と思っています。短文よりも長文を書く方が好きです。

本にしたいのは、メンタルヘルス、シンプルな暮らし、金融、組織論、マネジメント、お笑い…さまざまなジャンルに興味を持っています。出版社に企画書を提出して、連絡を待っている案件もありますが、同時にいろいろな企画を温めていて、ノートに書き記しています。普段の生活の中で思いついたもの、テレビを見ていて思いついたもの、1行でもいいから書いてストックしています。

金融・保険で培ったスキルが今、役に立っていると感じる場面もあります。例えば複雑な案件で、いろいろ細かく自分の知らないことが複数重なっているような場合でも、一つずつひもといていくと、ちゃんと答えにたどり着く。その考え方はライターとしてリサーチする時に生きています。漢字ばかりのマニュアルを読み解き、自分で仮説を立てて、お客さん向けにどこを抽出してどう提案するか。ここにはブックライティングにおける本の構成・展開を考える作業と、共通するものがありそうです。





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