【読書録#02】『ライオンのおやつ』
読書録#02
『ライオンのおやつ』
著 小川 糸
〈あらすじ〉
末期癌を抱えた主人公・雫の最後の日々を描いた物語。彼女が終の住処に選んだライオンの家は、彼女と同じような境遇の人々が集まっているホスピス。雫をはじめゲストたちは、オーナーのマドンナ、料理係のかの姉妹などとの交流を通じて穏やかに人生の終わりを迎えていく。
〈感想〉
小川糸先生の作品らしく温かみがあり、美味しそうな食べ物が登場する本作。
主人公・雫が最後に暮らすライオンの家でのお楽しみの一つが、おやつの時間。ライオンの家のゲストたちがリクエストしたおやつがエピソードと共に提供されるというものである。
私は、作中でマドンナが語っていたおやつの時間の意味に心打たれた。
p248
「おやつは、体には必要のないものかもしれませんが、おやつがあることで、人生が豊かになるのは事実です。おやつは、心の栄養、人生へのご褒美だと思っています。」
おやつは生きる上で必ずしも必要なものではない。
けれど、おやつがある事で人は心安らぐことが出来たり、誰かと話したり、活力を得たりすることが出来る。
「息抜きって大切なんだな~」と感じた。
雫は自分の人生を「ごちそうさま」という言葉で締めくくる。
この言葉から雫は自分の人生を満喫することができたんだな、良かったなと感じる事ができ、切なくも温かな気持ちになった。
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