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映画「ベティー ブルー」 狂おしい愛から学ぶ、感情のエネルギーの危うさ

原題:37°2 le matin ,Betty Blue(37.2度の朝)
(1986年/フランス/178分)
監督:ジャン=ジャック・べネックス
出演:ジャン=ユーグ・アングラード、ベアトリス・ダル

修理工のゾルグとウエイトレスのベティ。2人は出会い、恋に落ちた。ゾルグが小説家となり、彼の子供を身ごもることを夢見るベティ。しかし、夢がひとつずつ砕けていったとき、ベティの純粋な心は破綻していく…。
世界中にセンセーションを巻き起こした衝撃のラブ・ストーリー。

引用:アンスティチュ・フランセ東京

ゾルク(男)とベティ(女)の愛の物語。なんて軽いものではなくて。

ベティは感情の起伏がとにかく激しい。スイッチが入ったら止められない。物にあたるのは序の口、家に火を付ける、人に危害を加える。。その度に優しく彼女を包み込むゾルク。

でもベティの感情の波は大きくなっていく。そして次第にお互いが破滅に向かっていき、衝撃のラストシーン。

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内容ももちろんですが、映画の色彩がとにかく美しくて、内容の強烈さをいい意味で中和してくれます。青と黄色を基調に、色とりどりの差し色が効いてくる。ベティの友人が履いていたオレンジのブーツもたまらない。なんてセンスがいい映画なんだろう…とそれだけでも心が満たされます。

引用:IMDb.com

ノーカット版の3時間バージョンを観たのですが、最初はベティーの情熱的な狂おしい愛が優勢だったのが、次第にゾルクがその愛を受け入れ、ゾルクも静かだけれども狂おしい愛情に溺れていく様子が描かれています。

画像修正のない3時間バージョンの方がこの映画の世界の大事な要素を感じると思います。

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昔の私が観たら、この映画はなんだかベティが激しくて、狂っていて、どうしてそれでもゾルクはここまで受け入れるんだろう。どうしてこんなに優しいんだろう。こんな男、いるの?ま、やっぱりこれは映画だしね。

と、そこまで感情移入することは出来なかったと思います。

引用:IMDb.com

でも、今の私は、とにかくベティに共感してたまらなかった。それは感情を愛する人に爆発させた経験をしているから。感情をとことん爆発させて、爆発させまくって、それでも私から離れないんでしょ、と確認している。そんなことしたら相手の気持ちは離れるよ、と客観的にみたら思うし、私も思う。でも、私から離れないと確信していて、自分の湧き上がるものすべてをぶつけていく。

それでも逃げない。受け入れてくれる。そこで愛を感じていく。

なんという支配的。でも、まさに私も同じ。だからベティがあまりにリンクしてこの映画は良くも悪くもたまらなかった。

そして、そんなベティを全力で受け入れてくれるゾルクがいて、ベティを羨ましく思いながら、でも、ゾルクが受け入れ続けることで、どんどん狂っていくベティ、次第にゾルクも狂っていく。

本当の愛とか優しさって、こうして狂っている人に「大丈夫だよ。あなた、そのままで大丈夫だよ。」ではないんだよね、そうだよね、でも、私も「受け入れてくれないなんて愛じゃない!」と思っていたよ・・・と痛いほど見せつけられた映画でした。

引用:IMDb.com

ベティを演じているのがベアトリス・ダルというモデル出身のフランス女優さんです。この映画がなんと初出演。彼女の他の作品のインタビューで以下のように語られています。

役を演じる上で、そのキャラクターの中に私自身が反映されていないと、興味がわかないの。

引用:シネマカフェ

ベティの要素もきっと彼女自身と重なっていたのだと思います。そして私は彼女と同じものを感じている。

その理由は、占星術のサビアンシンボルで証明されました。彼女と私には共通の要素が多くあり、なかでも最も象徴的なものが軸の一致です。

ダル:ドラコニックチャートのMCが水瓶座25度
私:トロピカルチャートの太陽が水瓶座25度

引用:note 太陽とアングルの5つの軸

水瓶座25度のサビアンシンボルは右の羽がより完全に形成されている蝶。

右を象徴するのは知性や理性。それが完全に形成することを目指しているのがこの度数。一方で、左の象徴の感情のコントロールが苦手。でも感情をコントロールしなくては本当の知性と理性は獲得できない。

映画のベティはキングオブ感情女でした。あまりに感情的すぎて、それが純粋すぎて、なぜか人を虜にしてしまう魅力を放っていました。

でも、その純粋さのまま、感情をコントロールすることが必要だった。そうじゃなければ、自分も周りも破滅する。

まさに今の私も、このまま自分の感情で突っ走れば家族は破滅する。ここは冷静なって、知性を獲得していかなくてはならない。それが私の太陽のシンボルの課題なのです。

引用:IMDb.com

2人の愛し合うシーンは美しくもあり、苦しくもありました。理想の愛なんてわからないし、私は愛することすらいまだに出来ていないけど、愛に触れた今だから、この映画が心に響いてきたのだと思います。

このゾルクのように悠馬くんは私を受け入れ続けてくれて、でも、ゾルクと圧倒的に違うのは、それじゃいかんでしょ、と否定し続けてくれたこと。

タイムウェーバーも感情的になっていちゃだめですよ。という結果を出し続けてくれています。

どちらが本当の愛なのか。愛とはなにか。今、気がつかなかったら私の人生の課題を克服する日はないと思っています。


原題の『37°2 le matin ,Betty Blue(37.2度の朝)』は排卵時の女性の体温のことだそうです。最も妊娠しやすい、動物的本能として最も愛し合いたい時間。女性ならば誰にもある時間で、誰もがこのベティのような本能を少なからず持っていると思うのです。


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