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僕は東京を、持て余している
僕は、地方出身者
大学進学と共に上京し
そのままこっちで仕事に就き、結婚し
今も「東京」に住んでいる
地元へ帰った際
久々に会った友人に
「東京では、休みの日どんな風に過ごしてるの?」
と聞かれたので
ここ最近の過ごし方をよくよく思い返し
「週末には珈琲を焙煎して、日向ぼっこしながら散歩して、河原で珈琲飲んで、ジムで筋トレしたりしてるよ」
なんて答えたら
「お爺さんなの?」
と、大爆笑された
「東京の人ってもっとこう…オシャレなカフェに行ったり、Barに行ったりって感じで過ごすんじゃないの?」
とのこと
もちろん僕にも
そういう過ごし方に興味があった時代が
なかった訳ではない
お店を調べ、食べ歩き飲み歩きしていた時期もある
映える写真を撮ってみようと
チャレンジしたことも、ある
だけれども、どうにも僕は
「何を食べたか」「どんな店に行ったか」
よりも
「誰と行ったか」「どんな話をしたか」
そういうことの方に
興味関心が強かったようで
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そんな価値観なので
ここ最近は、友人に話したような過ごし方を
基本的にしながら
ときには友人を自宅に呼んで
まぁるいちゃぶだいを囲みながら
一緒にご飯を食べ、お酒を楽しみ
ゆっくり話す時間を、好んで過ごす
こうして書きながら
自分の過ごし方をしみじみと思い出し
友人に言われた言葉が
あまりにもしっくりきすぎて
少し自分でも笑えてきてしまった
僕は東京を、持て余しているのかもしれない
ジムからの帰り道、いつもの道で
コインランドリーのおばあちゃんに会う
おばあちゃん「あら〜!今日は仕事?今帰り?」
僕「こんばんは〜!ジムに行った帰りですよー!」
そんないつもの挨拶から
あれこれと今日も
たわいもない話をする
このゆったりとした時間がとてもすき
別れ際には
「あ、お兄ちゃん、あんた飲むんだよね?これ持っていきなー!!あたしは350mlで十分なのよ!」
なんて微笑みながら
ビールを2本も手渡しくれた
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なんだこの、あったかい世界は
おばあちゃんのくしゃっと笑った
あの笑顔が忘れられない
僕の過ごし方は
東京を、持て余しているかもしれない
だけれども
今日も温かい気持ちを
たくさんたくさん、このトーキョーで
受け取っている
持て余すほど
もう十分過ぎるほど、満足
今度は僕が
350mlのビールを持って
おばあちゃんのとこに
話しに行こう、そうしよう