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『堤未果のショック・ドクトリン』を読んで考えた、この本がショック・ドクトリンの危機

NHKの100分de名著を見て、本家の『ショック・ドクトリン』は高いから、『堤未果のショック・ドクトリン』を読んだ人、多いと思います。
私もその一人。
しかし、この本自体がある意味ショック・ドクトリンでは? と思ったので、この本に対する異論を挟ませていただきます。


お金の流れに注意が集中してる

この本は、とにかくお金の流れに注目してます。
それ自体は、悪いことではありません。
政治家と官僚と財界が癒着して、政治家と事業家が同一人物だったり近親者だったりすれば、自社やお友達企業に都合のいい政策や法律をつくれるわけですから、それは腐敗以外の何物でもありません。

政府の予算がお仲間企業に流れ、そこから下請け、孫請け、3次請け、4次、5次請け……と中抜きされていくから、末端の技術者にまともな給料が支払われず、高額な予算をかけた割にチープなものしか国民に提供されない。
ここ十年以上、当たり前になっているこれらの慣習も、昭和の時代なら政権が吹っ飛ぶような汚職なんですけど、みんな飼いならされちゃってる。

ショック・ドクトリンも、本来「衝撃的な事件(現象)で民衆の感覚が麻痺している間に、システムを政治権力者に都合のいいものに変えてしまう」ことを指していて、それが経済的権益を欧米では指すので、経済に注目するのは当然なんですけど。
(欧米の植民地政策って、20世紀に入ると、領地拡大よりいかに経済権益を確保するかに舵を切っているので、金儲けが第一なんですね)

で、日本の政治家だって金儲けに走っているので同じじゃんとも思うんですが。
この本の第一章のマイナンバーカードに関して言えば、問題は、お金の流れより国民を管理・支配するために手段を選んでいないところなので。
一周回ってぐるっと丸ごとファシズム志向してるじゃん、というのがマイナンバーカードなんですけど(持たない権利も剥奪しにかかってるし)、これが仮にお金の流れが透明清浄であったとしても、あかんよという、そこが一番というか。

というのも、日本の帝国主義時代における植民地政策って、経済的権益が第一じゃないんですよ。領土拡大主義! 感覚が戦国時代なの!
領土を手に入れれば、自動的に経済的権益はついてくると思ってるんですね。
現在、領土拡大なんて狙ってないと思いますが、支配が先、経済は自動的にどうとでもなると思っているふしは、ありますよね。

なので、アメリカ人とは違う視点も必要かなと思います。

ワクチンに懐疑的な根拠が不足

コロナワクチンに懐疑的なのは理解できますし、突貫工事で作ったワクチンの効果を疑うのもわかります。
私は接種した側ですけど、どう転ぶかわからないことも承知した上で接種したし、政府の出した予防効果の割合も信用しました。

だから、ファイザー社が効果を検証していないとするなら、政府が出した効果割合は何だったのか、日本政府も騙されてたのか、そもそもグルだったのか、ファイザー社の突貫工事具合はどの程度だったのか、それらは知りたいです。

かつ、インフルエンザ薬のタミフルも「解熱剤くらいの効果しかない」と書かれていますが、私はタミフル効いた派なので、プラシーボ効果だとしてもないと困るなと。
タミフルよりリレンザが全然効かないというのも、子どもたちが経験したし。
市販薬の解熱剤を飲んでも、一時は熱が下がってもまた39度以上の高熱が出るので、再度上がらないタミフルは違うと思うんですよね。

こと医薬品に関しては、お金の流れだけで判断することは危険です。
もちろん汚職は撲滅しなきゃダメたけど、医薬品は、お金以外の視点から検証する必要がありますね。

地球温暖化に懐疑的で未来像は?

第三章の地球温暖化問題についても、根本的な部分で懐疑的な立場を表明されてしまうと、こちらも斜に構えてしまうんです。
海水温の上昇、巨大台風、豪雨災害。温暖化でなければ何なのか。
冷戦終結以後、地球の二酸化炭素量は爆上がりしてます。どこの国も経済発展してきたので。
ここは基礎問題として共有していただかないと、あとの話は全部上滑りしてしまうんですよね。

確かに地球温暖化対策の名のもとに、利権でお金が回っているのもわかります。
SDGsの合意も、各国の利害が絡まって、結局ずぶずぶな合意にしかならなかったので、あんなもんじゃダメじゃん! となるのもわかります。
二酸化炭素の排出量取引。本気で温暖化対策する気ないだろう! と、言いたくなるのもわかります。
ソーラーパネル置くために森林伐採は本末転倒、そうです。

ただ。
地球温暖化による破滅の未来は、ショック・ドクトリンで終わるとは限らないんですよね。
実際、今年も、九州や東北が大雨で被害を被っているし。
暑さで、多くの方が熱中症搬送されてるし。
40年前より全然熱いじゃんって実感してるし。

企業が、仮に金儲けの為であっても、地球温暖化対策に乗り出しているなら、本末転倒じゃない限りは、ちょっと大目に見たいというか。
間違っていれば、それをすぐに修正してもらうという方向で、協力するというか。
突っ込まれるから何もしない方が得策ととらえられてしまったら、後戻りできなくなるので(すでに手遅れかもしれないけれど)、行動した方が得だと事業家に思わせる方に我々庶民が動いた方がいいわけで。

今のままの生活を維持する権利があるとするなら、それは誰かの生活を破壊しない限りにおいてなので、今現在、生活を破壊されてる方がたくさんいらっしゃるので、それを温暖化のせいではないと言われたら返す言葉がないんだけど、子どもたちにどんな未来を残せるかね。

おわりに

多分、ワクチンと温暖化問題は、別にもっとページを作って徹底的に検証された方がいいのではないかと思います。
マイナンバーカード問題と一緒にして一冊にまとめちゃうから、中途半端な内容で終わってしまう。

しかし、ショッキングな内容なので、この本自体がショック・ドクトリン化してしまうのは多分著者の本意ではないと思うので(と信じたい)、お金の流れ以外の視点も持って、内容は多角的に読んだ方がいいですよ、とお伝えしたいと思いました。

ありがとうございました。

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