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[本のおはなしvol.15] 「かさ」

6月に入りましたね。
今日は先週の『カエルのおでかけ』に続いて雨にまつわる絵本をご紹介。
『かさ』

こちらは息子の通う保育園図書館で見つけた絵本。なんともモダンな表紙に惹かれて手に取りました。1975年初版のロングセラー絵本。
この[本のおはなし]でも時代を超えて愛されているロングセラー絵本を過去紹介してきていますが、これはなんと言っても「字のない絵本」。文章に見られる時代感(我々はゴツゴツした感じ、なんて表現していましたが)は見られず、時代を感じる要素は絵の中の男の子の服装がパンタロン風?なことぐらいでしょうか。モノクロなところもモダンさを際立たせているのかもしれません。

そう、この絵本は表紙の通り、主人公の女の子の「赤い傘」以外は全てモノクロ。これがまた雨の寂しさや不安感を感じさせ、赤い傘で女の子を鮮やかに際立たせているように思います。字がない上に色も少ないことで読み手の想像は膨らみ、読む側の心情によってお話の印象がガラリと変わるように思います。

色のことで思い出したのが「赤ちゃんの視覚・色覚」のこと。
生まれてすぐの赤ちゃんは視力は0.01~0.02程度と考えられていて、認識できる色は「白・グレー・黒」のモノクロの世界。色の違いもわかりません。そこから生後3ヶ月ごろまでにはっきりした色を認識していくようで、最初に認識できるようになる色は「赤」だそうです。やはり「モノクロと赤」の組み合わせは一番「わかりやすい色」なのかもしれません。

赤に注目してみると、絵本の世界には「赤」が多いかも、と思いました。「赤い傘」「赤い靴」「赤い車」「赤いコート」タイトルにもよく使われていますね。
『かさ』と同様に「字のない絵本」といえば『赤いふうせん』

この絵本も最後は「赤い傘」で終わります。表紙は「赤+緑」ですが中のページは『かさ』と同じく「モノクロ+赤」。
表紙が「赤+緑」なのがちょっと気になります…というのも補色の赤と緑は一見とても区別のしやすい色のようで、色覚異常があると「赤と緑」は区別が難しい色になるのです。
色覚異常といっても様々な種類があり、色の見え方は人それぞれですが、下図のように正円の色相環を色覚の正常模型とすると、向かい合わせになる色(補色)は色の差が一番大きいのですが、色覚異常は円が一方向に圧縮された楕円のように表され、赤系統の色と緑系統の色の区別が難しくなり、補色のはずが近似色に。楕円の長軸方向、黄色と青〜紫は正常と同様に区別できることが多いようです。

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そんな色の話にもなりつつ、今日のお話はのんびりのんびりと。
「色」に注目してみることも絵本選びの楽しみ方のひとつかもしれませんね。

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今週の子守唄は、「雨にぬれても」。
雨だけれどどこか明るい気分が感じられる歌をと思ってのチョイスです。

アメリカンニューシネマの代表作「明日に向かって撃て」の主題歌として広く知られた曲です。作詞はハル・デヴィッド、作曲はバート・バカラックのコンビによるもの。

↑改めて、このメロディーにこの歌詞。素敵です。映画を見たのはもうずいぶん昔ですが、また見直したくなりました。

Raindrops keep falling on my head

Song : Burt Bacharach  Lyrics : Hal David

Raindrops keep falling on my head
And just like the guy
whose feet are too big for his bed
Nothing seems to fit
Those raindrops are falling
on my head, they keep falling..

So I just did me some talking to the sun
And I said I didn't like
the way he got things done
sleeping on the job
Those raindrops are falling
on my head, they keep falling...

But there's one thing I know
The blues they send to meet me
Won't defeat me
It won't be long till happiness
steps up to greet me

Raindrops keep falling on my head
But that doesn't mean
my eyes will soon be turning red
Crying's not for me
'cause I'm never gonna stop
the rain by complaining

Because I'm free
Nothing's worrying me

↑作曲者 バートバカラック本人の歌う「雨に濡れても」

次回「本のおはなしvol.16」は扇谷一穂選書で、これまたロングセラー絵本として、長く広く愛されてきた絵本「おやすみなさいお月さま」( 文:マーガレット・ワイズ・ブラウン 絵:クレメント・ハード )をテーマにお届けします。


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