見出し画像

【清水園】江戸の面影を今に残す 城下町の苔の名庭(新潟県新発田市)

「名勝」とは、日本における文化財の種類の一つ。本連載では国指定名勝の庭園、峡谷、海浜、瀑布などを、臨場感あふれる撮りおろし写真で紹介します。旅に出たような気分で、日本の美しい景勝地の数々をお楽しみください。(ひととき 2020年7月号「名勝アルバム」より)

 江戸時代に10万石の城下町として栄え、往時の雰囲気を今に伝える新発田(しばた)市。当地は1598年(慶長3年)から274年間にわたり、溝口秀勝を藩祖とする溝口家に統治されてきた。清水園は溝口家の下屋敷として造られ、のちに幕府茶道方の茶人・縣宗知(あがた そうち)を招いて純京都風の庭園が造成された。

 清水園は「苔の名庭」として知られる。隣接して流れる新発田川と、園内の大泉池による多湿環境の恩恵を受けてさまざまな種類の苔が生育し、幽玄な景観を生み出した。

2007_名勝D01**

「園内の至るところに、苔が青々と茂っています。朝方の涼しい風に吹かれながら眺めていると、とても心が和みます」と清水園園長の佐藤隆男さん。

 広大な園内には、江戸初期の面影を残す書院や、優美な5つの茶室、移築復元された武家屋敷など、貴重な建造物が点在する。越後を代表する名庭で、瑞々しい苔に癒されながら、江戸の文化と歴史を体感したい。

写真=佐藤佳穂

◉名勝指定:2003年(平成15年)8月27日
新潟県新発田市大栄町7-9-32
☎0254-22-2659
[営業時間]9時〜17時(3月〜10月)、9時〜16時30分(11月〜2月)
[休園日]1月と2月の水曜、年末
[入場料]大人700円、小中学生300円
http://hoppou-bunka.com/shimizuen/
明治中期に移築された米蔵である園内の蔵の資料館では、当地の歴史が学べる。また、清水園のチケットで隣接する足軽長屋(藩政時代の足軽の住居で国重文)にも入場可。

出典:「ひととき」2020年7月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。


よろしければサポートをお願いします。今後のコンテンツ作りに使わせていただきます。