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「持ち物」を見れば、どんな力の持ち主かわかる!|仏像のキホン講座#2

こんにちは、仏像イラストレーターの田中ひろみです。
前回に続いて、私の新刊仏像イラストレーターがつくった 仏像ハンドブックから、仏像鑑賞のツボを皆さんにお伝えします。

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今回は仏像の持ち物「持物(じぶつ、じもつ)」についてお伝えします。
仏像を思い浮かべてみると、蓮の花とかかびんのようなものとか、なんだかありがたそうな道具を持っていることがありませんか? そうした道具の1つ1つは実は大きな力を備えていて、仏様が民を救う際の助けにもなっているのです。

◉持物ってなあに?
薬師如来が万病を癒す薬の壺を手にしているように、その持物が仏像の種類と結びついているのです。何を持っているのかが分かれば、それがどんな種類の仏像であるのかが判断できるのです。

たとえば下の弥勒(みろく)菩薩は、何も持っていませんね。

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下の虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は宝珠(ほうじゅ)という玉を持っています。

仏像HB_s02_初校20201014 (1)

こちらのイラストをご覧ください。

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いろいろな持物があるなかで、宝珠はあらゆる願いを叶える珠。六道(りくどう)と呼ばれるすべての世界(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)にやってきて、民を救ってくれる虚空蔵菩薩が持つにふさわしいものなのです。

皆さんは、蓮の花を持つ仏像をよくご覧になったことがあるのではないでしょうか? この不空羂索(ふくうけんさく)観音を見てみてください。手が8本あり、蓮の花や羂索と呼ばれるロープを持っています。

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蓮の花は煩悩に支配されない清らかな観音のしるし、羂索は苦しむ人を救い上げ、煩悩を縛りあげる役割を持つのです。

こうしてみると、仏像の持物は、仏教の世界観とつながっていることがお分かりいただけるのではないでしょうか?

◉武器のような持物もある
蓮の花や宝珠のように、民を救うための持物もありますが、武器のような形で、悪いものを排除したり断ったりする持物もあります。

それがこちら。弓矢や斧、先端の尖った戟(げき)。ちょっと怖い感じがしますよね。

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でもこれらは、だれかを攻撃するものではなく、煩悩や迷いをやっつけてくれる法具なのです。仏様は、祈りに手を合わせる人の迷いや苦しみをバッサリと法具で断ち切ってくれるのです。

いかがでしたか?
仏像はそもそも、幸せや救いを求める人のためにつくられた存在なのです。だから様々な持物で、より強い力で祈りに手を合わせる人を救おうとしてくれるんですね。

次回は、ごろんと横になった涅槃(ねはん)ポーズや足を組んだポーズなど、さまざまなポーズの意味をお伝えします。

文=田中ひろみ

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