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終着駅に行ってきました

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終着駅という響きに、わけもなく惹きつけられる。この先にはもう線路がない、という最果てのロマン。そして一抹の哀愁。そこには、どんな街が広がり、どんな人たちが息づいているのか。憧れで… もっと読む
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2021年1月の記事一覧

“ちょうどいい”町へと連れて行ってくれる、奇跡の電車(勝山・えちぜん鉄道)|終着駅に行ってきました#4

かつて織物の産地として名を馳せ、近年は、恐竜の町として再注目される町、勝山。白山連峰からの雪解け水が流れる静かな町に、奇跡の復活を遂げて、コトコト走る鉄道で訪れるとそこには人との繋がりを大切にしながら、背伸びせず、いいものを作り出す人たちがいました。〔連載:終着駅に行ってきました〕 文=服部夏生 写真=三原久明  昼下がりのえちぜん鉄道の電車には、女性の車掌が乗っていた。車内を忙しく動き回り、乗客ひとりひとりに声をかけ、無人駅から乗ってきた客には切符を発行し、降りる際にひと

漁師町の外れにやってくる「奥ゆかしき」電車(加太・南海電鉄加太線)|終着駅に行ってきました#3

紀伊水道の恵みを受ける岬にある町、加太(かだ)。釣りに島巡り、温泉に海水浴……。観光地として抜群のポテンシャルを持つこの地に、和歌山市からコトコト走ってくるのは、明治時代からの由緒正しき歴史を持つ電車。そんな加太線のことを、地元の人たちに聞いてみると……。〔連載:終着駅に行ってきました〕 文=服部夏生 写真=三原久明  子どもの頃、南海電車がお気に入りだった。  父親の実家の徳島に帰省する際、和歌山港行きの特急に乗るのが楽しみだった。車体の緑の濃淡のカラーリングも、長大な