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地元にエール これ、いいね!

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日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験で…
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#伝統工芸

【若狭のお箸】若狭の美しさを表現した現代の箸づくり(福井県小浜市)

「御食国」として都に豊かな食材を運んできた福井県小浜市は現在、箸の一大生産地として栄える町。全国に流通する塗箸の8割がここで生まれているという。その背景に、400年以上の歴史をもつ伝統工芸品・若狭塗があることは間違いない。かつて漁師が副業として若狭塗の箸づくりをしていたことが、箸産業のルーツのひとつだ。 「若狭塗の模様は、卵殻と貝殻、松葉や菜種などの自然素材で描いていきます。色漆を塗り、金箔を置き、さらに漆を塗り重ねます。その後、研ぎ出しによってきらめく模様を出すのが若狭塗

【農民美術】大正モダニズムとともに生まれた長野県上田の伝統工芸品

日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験できないお祭など、心から「これ、いいね!」と思える魅力的なモノやコトを、それぞれの物語と共にご紹介します。(ひととき2021年2月号より)  素朴でかわいらしい、小さな「こっぱ人形」。ロングセラーとして愛される実用品「鳩の砂糖壺」。洗練されて現代的なキューブ型の「上田獅子」……。 尾羽の部分がスプー

【江戸小紋】緻密な文様に奥ゆかしい美が宿る(東京都新宿区)

日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験できないお祭など、心から「これ、いいね!」と思える魅力的なモノやコトを、それぞれの物語と共にご紹介します。(ひととき2020年1月号より)  江戸時代に武士の裃(かみしも)として発展し、町人の間でも盛んに着られるようになった江戸小紋。一色染めなので遠目には無地に見えるが、近寄って目を凝らせば地色には白

【城端しけ絹】稀少な繭が生み出す唯一無二の絹織物(富山県南砺市)

日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験できないお祭など、心から「これ、いいね!」と思える魅力的なモノやコトを、それぞれの物語と共にご紹介します。(ひととき 2020年5月号より) 「お蚕さんは、ごく稀に2頭で1つの繭を作るんです」。教えてくれたのは「松井機業」6代目見習いの松井紀子さん。このわずか2~3パーセントという貴重な繭から採れる糸