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なぜライターになりたい人が多いのか? ライターで飯が食えるのは一握り?

皆さんは子どもの頃、将来どんな仕事に就きたかったですか? 昔はプロ野球選手やパイロット、キャビンアテンダントが人気の職業でした。それが今ではYouTuberになりたいという子もいるようで、時代の流れを感じますよね。

一方、大人がなりたい職業も時代を感じさせるものになっています。

メディア「エラベル」が全国の10代から70代の男女1,231人を対象に「大人のなりたい職業」に関するアンケート調査を実施したところ、以下のようなランキングになりました。

1位 ライター…56人
2位 公務員…52人
3位 医師…46人
4位 YouTuber…38人
5位 薬剤師…31人
6位 投資家…29人
7位 看護師…28人
8位 WEBデザイナー…26人
9位 プログラマー…25人
10位 教師…22人

子供同様、Youtuberが人気のようですが、公務員や教師といった堅実な職業もランクインしています。そして、1位に輝いたのはライターということです。

ライター志望者増加は時代背景?

なぜライターがこれほど人気の職業になったのでしょうか? まず考えられる理由に、時代の変化があります。

新型コロナウイルスの感染拡大で、在宅ワークを導入する企業が増えました。これまで会社に行ってやっていた仕事が自宅でできるようになったことで、働き方への価値観が変わったといえるでしょう。

自宅でできる仕事ならば、東京の給与水準で地方に移住しのんびりと暮らすことも可能になります。そして、実際にそのような暮らしに憧れている人も増加していると聞きます。

ライターはジャンルに分けるとクリエイティブ職になりますし、なんとなく響きが良いように感じます。文章を書くことに抵抗がなく日本語ができれば、誰でも何かしらの記事を書くことができ、参入へのハードルが低いとも言えます。そして1日8時間ぎっしりと仕事をせず、自分のペースでこなせるというイメージを持っている人も多いようで、無理せず働きたい人の需要に適しているのかもしれません。実際に、発表元から引用したコメントを紹介します。

「場所や就業時間、仕事量などをある程度自分で調整ができ、今の時代に合った自由な働き方だと思うため」(男性 / 30代 / 新潟県)

考えられる理由はまだあります。

インターネットが普及した現代は、かつて第一線にいた紙媒体が衰退した反面、スマホで簡単にニュースが読める時代になりました。出版社を始めとしたマスコミ各社が運営するWebメディアは、Yahoo!ニュースやLINE NEWSといったプラットフォームに様々な記事を配信しています。読者は媒体の選定ではなく、純粋に自分が興味のある記事を取捨選択することができるようになったのです。つまり、ニュース記事というものがとても身近な存在になりました。
ニュースだけではありません。例えば「東京に来たら絶対に食べたいラーメン30選」「京都観光で外さないスポット10選」のような記事、そしてnoteやWantedlyなど採用でのブログ記事が増えたことも大きく影響しているはずです。特にブログ記事は、ニュース性がない分、ライターの個性が出せる傾向にあり、「自分も書いてみたい!」と思う人がいても不思議ではありません。

企業目線でも、こうしたサイトはニュースメディアと異なり取材を必要としないケースが少なくなく、制作のための経費は多くかかりません。そのため、広報や集客だけを目的としたサイトは低予算で記事を出せるようになりました。


常に書き手を募集しているサイトも多く、ライターになりたい人からすると、非常にチャンスが多い時代とも言えるかもしれません。

しかし、厳しい現実もあります。
まず、取材をしないからといっても、企業の広報サイトの執筆にはある程度スキルが必要で、ライター未経験者がいきなり参入できる可能性はとても低くなります。ニュースメディアも同様です。
大手出版系メディアに勤める現役編集者曰く、書き手の募集をかけると100人近くの応募があると言います。しかし、実際に仕事をお願いするのはメディアでのライター経験者、そして企業サイトで執筆しているライターが多いということです。未経験者の場合はやはり実績がないとの理由で弾かれてしまうのが現状と言います。
つまり、 需要が多いとはいえ、それなりのサイトで執筆をするハードルは高いということです。

ライターは書くだけでは務まらない?

こういった現実を踏まえると、未経験でライターを目指すにはまず、安価な仕事からスタートするしかないのが一般的となります。
「出版系新聞系のメディアのほとんどは、文字単価ではなく記事単価で原稿料を設定しています。弊社は大体、1500文字から2000文字くらいで、8000円から10000円です。企業サイトでも同じくらいの原稿料なのではないでしょうか? 3000文字以上書く必要のある媒体では、1本2万円から3万円と高額なこともあるようですね」(前出の編集者)
一方、クラウドソージング等で募集されているライター職の報酬を見てみると、1文字1円にも満たない単価がたくさんあり、これらは、簡単なSEO記事であることが多いようです。例えば1文字0.5円だとすると、5000文字書いても2500円、10本書いても25000円。お小遣い稼ぎに振り切るならばいいですが、生計を立てるにはかなり厳しいはずです。
「文章を書くのが好きというライター志望者も多いですが、取材をせずに5000文字も書くのはなかなか骨が折れますし、似たような記事を量産するのは飽きるでしょう。慣れてくると割りに合わずにゲンナリする可能性も。それが苦にならない人も、もちろんいるのでしょうが…。そしてもっとも肝心なのが、こうした安価なサイトで執筆を続けても、実績にはなりづらいという現実です。稀に1文字0.5円から1文字5円に成り上がったライターさんもいますが、本当に極僅かかなと思います」(前出の編集者)


前出の編集者に「なぜ、安価な仕事が実績に繋がらないのか?」と質問すると、「記事を書くだけがライターの仕事ではないから」と答えが返ってきました。
「確かに、今のニュースでは大手メディアでも、テレビで芸能人が発言したことを切り取り記事にする手法が目立ちます。しかし、ライターとは本来、書くだけが仕事ではありません。担当編集とは密にやり取りをしますし、著名人へのインタビューや、話題のサービスを提供する企業に電話取材を実施することもあります。編集者に代わって取材申請を行うことも少なくないです。そして、企画を出すスキルも必須。なので、商品をまとめただけの記事などをいくら書いても、実績には繋がりにくいということです。あと、ライターは人と接するのが苦手な人でも務まると思われがちです。苦手でも構いませんが、取材対象者などときちんとコミュニケーションを取れない人は適正が無いと言わざるを得ないかもしれませんね」(前出の編集者)
コミュニケーションに関しては、前出したライター希望者のコメントにもありましたので引用します。
「社会人になってから、会社のしきたりや人間関係に悩まされることが多く、組織に所属して働くことの大変さを痛感しています。ライターの方は、在宅で自分のペースで仕事をされている方が多いイメージで羨ましく思いますし、私のように人と接することに少し苦手意識のある人には働きやすそうに感じるのでなりたいです」(女性 / 20代 / 岩手県)

ライターは文章構成力や言語力のスキルが求められます。しかし、単価の良い仕事を得られるようになるには、+αでコミュニケーション力も必要になってくるのです。

Webライター1本で生計を立てるのは困難

ですが、たとえ単価の良い仕事を受注できても「Webライター1本で生計を立てるのは難しいのでは」と、前出の編集者は言います。

「メディアや企業サイトは確かに単価は良いかもしれませんが、私は同じライターに仕事を振るのは月に数本です。2本とか3本とか。正直、名が売れている方を除き、Webライターだけで生計を立てている人は聞いたことがありません。色々な媒体で書いたり、Webの他に紙媒体の仕事をこなしたりしてなんとかという人がほとんどかと思います。つまり、ライターだけで生計を立てるのは可能ではありますが、やはり本数をこなさねければならないのです。そうなると労働時間も相当で、のんびり、自分のペースで…とは正反対かと(苦笑)。しかも、忙しいわりには実入りは少なく、安定性にも欠ける…。ハードな仕事であるのは間違いないです」

自由度の高いイメージがあるライター職ですが、実際には泥臭くやっていかないといけないことがわかりました。ですが、「それでもいいからやってみたい!」という人もきっと多いはずです。

前出の編集者は「いきなり飛び込むことも大事だが、編集者やライター経験者に、どのように活動をしていくべきか相談するのが賢いですよ。過度な期待をせずに趣味感覚で始めるといった考えを忘れずに…です」と話していました。

まとめ

私たちは、様々なキャリアを持つ人にオンライン上で仕事の相談ができるサービス『ホンネメンター』を運営しています。転職から副業まで幅広い悩みに対応ができ、利用者から好評をいただいています。

メンターの中には、ライターとして10年間活躍されている方もいます。これを読むライター志望の方にとっては貴重な話を聞けるチャンスかと思います。まずは一度相談してみようかな…といった軽い気持ちでも大丈夫ですので、一度利用を検討してみてください。


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