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血圧ってどうやって上下しているの?ホルモンとの関係性は?Part1

こんにちは。理学療法とWeb3に力を入れているREI(@honma.rei1008)です。

日々患者さんの血圧を測定し、
「血圧安定していますね!」
「今日は少し高めですね?」

そんな会話をしているかと思います。

なぜその患者さんは血圧が安定しているのか、なぜあの患者さんは血圧が少し高めなのかを考えたことはありませんか?

薬を飲んでいるから、太っているからなどパッパッと浮かんでくるものがあると思いますが実はそれだけではないんです!

そこで今回は、血圧はどのような機能で上下の調節をされているのか、またホルモンとの関係性について解説していきます。

血圧とは

みなさん、そもそも血圧ってなんだか分かりますか?
馴染みのなる言葉だからこそわかった気持ちになっている人はいませんか?

血圧は、【心拍出量×末梢血管抵抗】でしたよね。

画像=まつばらクリニック

>>血圧の基準値はこちらからご確認ください

心拍出量は、心臓から出てくる血液量のことで、末梢血管抵抗は末梢血管の抵抗性(収縮の具合)ことです。

心拍出量はあまり変動が大きくないことから、血圧は末梢血管抵抗の程度によって上下に変動します

血管抵抗は、血管壁の平滑筋が収縮することで血管が細くなり抵抗が上がり血圧が上昇します。
その逆で、血管壁の平滑筋が弛緩することで、血管が元に戻り抵抗は下がり血圧は低下します。

画像=医教
血管抵抗は以下の5つの機序によって上下に調整されています。
・筋原性反応
・液性因子
・自律神経
・腎臓
・代謝需要による血液の再分配
理学療法・作業療法学 生理学 第4版

それぞれの機序を詳しくみていきましょう。

1.筋原性反応

血管の平滑筋には伸びると脱分極を起こし収縮するという機能が存在します。

平滑筋が伸張することで、脱分極が生じCa+チャネルが開き、流入してきます。そうすることで、血管の平滑筋は収縮を起こすのです。

血圧の上昇により、血流の増加を予想した血管平滑筋は収縮し抵抗を上昇させることで、血流の増加を防ぐという自動調節機能が備わっています

脳などの血圧を常に上下一定にしなければならない器官ではこのような自動調整機能が発達しています。

2.液性因子

液性因子では、ホルモンや代謝産物など、血液や間質液中に放出された物質のことで、これらが血管平滑筋に作用し収縮や弛緩を促しています。

液性因子はさらに
・代謝産物による調節
・ホルモンによる調節
・内皮細胞による調節 の3つに分類することができます。

・代謝産物による血圧の上下調整

画像=野田市

代謝産物とは、代謝の結果発生する物質で、血管の平滑筋を弛緩させ血管を広げる役割を持っています。

代謝産物が増加してくるということは、代謝が多く行われているのに血流が不足している状態と言えます。

かなり運動をしているのに血流が不足し酸欠状態になっている」という方がわかりやすいですかね。

そうなってくると当然、体は血液を欲します。

そのため、代謝産物は血管を拡張させ血液が入ってこれるスペースを空け準備をするというわけです。

血管を拡張させる代謝産物の例としては、K+、H+、乳酸、アデノシンなどの物質で、酸性のものが多いです

酸性のものが代謝により体内に増えることを「代謝性アシドーシス」と言いましたね。
代謝性のアシドーシスを改善させるためには、呼吸を多くし二酸化炭素を多く排出する必要があります。

ですので、代謝が盛ん(運動など)になると息が切れて呼吸数が多くなるんです

・ホルモンによる血圧の上下調整

〜前提〜
血管平滑筋にはαとβ需要体がありそれぞれ、「αは血管収縮」「βは血管拡張」です。

副腎皮質から「アドレナリン」が放出されると、低濃度ではβ受容体に結合し血管を拡張させ血圧は低下します。

反対に、高濃度であるときは、α受容体に結合し血管を収縮させ血圧が上昇します。

腎臓から放出される「レニン」も血圧調整に関わっています。

腎臓の血圧が低下すると、腎臓からレニンが分泌されます。このレニンは、タンパク質を分解する酵素で、血液中のアンジオテンシノゲンを分解して「アンジオテンシンⅠ」を産生します。

アンジオテンシンⅠはACEという血圧調整酵素により、「活性型のアンジオテンシンⅡ」にさらに変化します。

この活性型のアンジオテンシンⅡが血管を収縮させ血圧が上昇します。

こんなイメージです

さらに、このアンジオテンシンもう一つ役割があるんです。

それが、「アルドステロンの分泌促進」です。

アルドステロンは腎臓でのNa+と水の再吸収を促進するホルモンで、血管中の水分量が減少することで、高濃度になり血圧が上昇します。

また、下垂体紅葉から分泌される抗利尿ホルモン(バソプレシン)も高濃度では血管収縮を引き起こし、血圧上昇に関与します。

まとめると、
血圧の上昇(血管収縮)→高濃度でのアドレナリン、レニン、アルドステロン、バソプレシン
血圧の低下(血管拡張)→低濃度でのアドレナリン

となります。

血圧上昇作用のものが多いので、血圧が高い人が多いのも納得ですね。
下げるものが少ないので…


・内皮細胞による血圧の上下調整

血管の内膜を覆い常に血液と接している血管内皮細胞は、血管平滑筋の収縮状態を常に感知し、血管の太さを調節しています。

血管を収縮させる(血圧を上げる)物質

・エンドセリン
 エンドセリンは血管内皮細胞から産生される物質で、強力で持続的な血管収縮を促します。

・アンジオテンシン
 アンジオテンシンは先ほどのホルモンの項で出てきましたね。
血管平滑筋を収縮させるとともに、アルドステロンの分泌も促し血管を収縮させます。

血管を弛緩させる(血圧を下げる)物質
・一酸化窒素
 一酸化窒素は、血管内皮細胞から常に産生され続け血管が過剰に収縮しないようにコントロールしています。

高血圧症の大半を占めている本態性高血圧症では、この一酸化窒素の産生が障害され血圧が下がりづらくなってしまします。

また、陰茎の勃起は一酸化窒素の作用による血管拡張によって生じています。

・プロスタサイクリン(プロスタグランジンI2:PGI2)
 プロスタサイクリンは、血管内皮細胞から産生される強力な血管拡張物質です。

また、血液中に放出されたプロスタサイクリンは血小板の凝集を防ぎ、血栓などの予防の役割も果たしています。

まとめ

血圧の上下を調節する機能は5つあり、その中で今回は2つ解説していきました。
1つ目が筋原性2つ目が液性因子でしたね。

筋原性は平滑筋が伸張度合いを判断し、収縮するという自動調節のもと調節し、脳などの血圧を一定に保たなければならない器官で発達しています。

液性因子は、代謝産物、ホルモン、内皮細胞の3つにより上下に調節され、血圧を下げる機能が少ないのが特徴でしたね。

長くなりましたので、残りの3つの機能はまた別の記事で解説していきます。

今日の学びお疲れ様でした。

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