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滑液包障害を見るうえでこれだけは知っておきたい病態と回復過程

障害メカニズム

障害メカニズム
・病態
 滑液包は関節周囲の組織間に存在し、滑膜細胞と類似の間葉系細胞で内面を被覆された袋様構造である。筋肉、腱、靭帯、関節包などの組織間にあって、関節運動に伴う組織間の摩擦を軽減する。滑液包炎は外傷や感染、他の炎症症状から生じる滑液包の炎症である。炎症が生じるとしばしば液が貯留し腫大する。しかし、滑液包の膨張は炎症によるものではなく、隣接する他の組織の異常により膨張すると考えられている。
・病的変化
 異常な滑液貯留、滑膜肥厚、あるいは双方による腫脹が原因となる過程によって病態が引き起こされる。解剖学的滑液包の病的変化は、外傷性炎症性感染性増殖性に分類される。滑液包炎の最も一般的な原因は、長時間の圧力であり、それによって滑液包は硬い面と骨隆起の間でストレスを受ける。例えば、肘を机の上に置くことや、膝立ちでの作業がこれにあたる。2番目に多い原因は、直接圧迫力が加わる外傷である。その他、自己免疫状態および全身性炎症状態、リウマチ、変形性関節症、全身性エリテマトーデスなどがある。
・損傷による組織変化
 慢性化すると、滑膜被覆細胞の腫大と増生や炎症細胞浸潤、フィブリンの滲出などが生じる。さらに、滑液包壁には線維性肥厚や血管新生が見られ、周囲組織との癒着が見られる。

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