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153 日常の中にある非日常

BRILLIANT_Sさんに紹介していただいた

 このnoteをBRILLIANT_Sさんに紹介していただいた。ぜひ、お読みください。ほかにも4つの魅力的なnoteが紹介されています。

 以前にも、紹介いただいて大変恐縮している。ライ・クーダーの曲(Ry Cooder/Brothers)をつけてもらう。響きの美しいスライド・ギターに、少し耳を傾けていただけるとなおうれしい。そこには、間違いなく、非日常がある。
 たとえば、偶然なのだが、今回のnoteには鳩の写真を使っている。偶然というのは、ここで使う写真を録り溜めていて、それを順番に使っていて、たまたま今回からはこの写真、という意味だ。
 鳩は、私の周辺ではありふれた日常である。上野公園にも浅草寺にも、そのほかいろいろな公園に、そして道路に、鳩を見かける。
 しかし、鳩は飛ぶ。鳩はどこに巣を持っているのかわからないが、どこからかへ飛ぶ。そしてまたふいに飛来する。誰かが餌付けしているのか、やたらと集まっている一角もある。暑い夏には水を浴びている姿も見た。
 私は鳩をこれだけ見ているけれど、鳩のことはなにも知らないのだ。鳩の行動半径、毎日の過ごし方、そして鳩の一生。幸い、いままで死骸を見たことはない。そういえば幼い鳩を見たこともない。そもそも鳩は何歳なのか。
 人がなにか食べるものを与えているならわかるが、そうでないときはなにを食べているのだろう。
 そもそも同じ鳩に会ったとしても、鳩は私を覚えているかもしれないが、私は鳩を覚えていない。どの鳩も同じように見えてしまう。鳩はそこにいるときにだけ見えているのだが、いないときはどこに消えてしまうのだろう。もしかすると異次元の空間に飛び去っているかもしれないけれど、私はそれに気付くことはない。

非日常に気付くこと

 日常の中には、気付くと私にとっての鳩のような非日常がある。
 それは、気付くことではじめて非日常になる。気付かなければ、日常だ。鳩がいくらいても、誰も気に止めない。だけど、気付いてしまうともはや日常ではない。
 非日常を楽しむには、チケットを買ってコンサートや映画や演劇を観る。あるいは遊園地へ行く。あるいは有名な店へ行く。旅行をする。スポーツをする。観戦する。応援する。誰かと会う。誰かと話をする。SNSで見知らぬ人に出会い、その人の書いたnoteやブログを読む。あるいはYouTubeを見る。音楽を聴く。ほかにもいろいろなアクションがありそうだ。
 ただ、そうしたことをしなくても、気付きさえすれば、そこには非日常がある。
 本棚を眺めて、どれでもいいから一冊出して手に取る。こういう行為は電子書籍では味わえない。本には重さがあり微かに臭いもある。手触りがある。いつ購入したのか思い出せないような本。果たしてこれを読んだのか。パラパラと中を見ると、どうも読んでいない気がする。ところが、あとがきを読んでいると、間違いなくこの本は一度は読んでいるのだと気付く。
 いつ読んだのか思い出せないけれど、以前に私はこの本を読んでいる。なにも思い出せないのに。あのときの私はどこに消えたのだろう。
 もしかすると、その時も、あとがきしか読んでいなかったのでは?
 自分のことだから、絶対そんなことはないはずだ、などとは言えない。まえがきしか読んでいない本。参考文献しか読んでいない本は間違いなくこの本棚に飾られているのだから。
 そんなことを思っている数分間は、すでに日常ではない。少なくとも、朝起きて、漠然と今日という日を思い描いていた中には含まれていないアイテムである。
 おっと、なんだかわからないのに非日常を味わってしまったな、とそのときに気付く。

音楽を漁る

 2019年頃からSpotifyを利用している。当初は招待制で、招待されてすぐ使いはじめた。完全ではないけれど、私にとっては十分に非日常を楽しめるツールとなっている。
 いつもの日常を生み出すためのプレイリストをいくつか作っている。それとは別に、検索をしながら非日常を作り出してくれる音楽を見つける。さきほどの本棚以上に、Spotifyはいろいろな出会いを演出する。検索はもちろんだが、レコメンドもしてくるので、そこから新たなアーティストに接することができる。
 かつて、レコードを購入して聴いていた頃は、そこに記されている参加しているアーティスト、あるいは作曲者を手掛かりに、自分にとって未知の音楽を探っていた。とくにジャズの世界では、メンバーの変化、競演、ゲストとして参加するといったことも頻繁にあるから、芋づる式にたぐり寄せていくことになる。
 かと思えば、ある日、何気なく聴いていたFM放送から流れて来た曲に魅了されることもある。
 そういう日は、なんだか得をした気になる。

雲海2.0


 
 

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